自身初の女子ワールドカップに向けて「徐々に実感が湧いてきた」という田中美南は、コンディションを整えつつ、チームの雰囲気作りにも寄与したいと考えている。

　池田監督が標榜するサッカーはひと言でアグレッシブ。素早い攻守の切り替え、積極果敢なアタックを実践するうえで、ポジティブなマインドが不可欠だ。だからこそ、チーム全体が前向きなスタンスになれるよう、雰囲気作りが重要だと思っているのである。

　団結力を高めたうえで目指すはもちろん優勝。栄冠を掴むためにはまずグループステージを突破しなければならない。そこでの対戦３か国は、ザンビア（試合は７月22日）、コスタリカ（試合は７月26日）、スペイン（試合は７月31日）。同居した３チームの印象について、田中はこう語る。

「（グループステージの）最後がスペインなので、やはりザンビア戦とコスタリカ戦でどれだけ良い試合ができるか。得失点差も重要になるので、最初の２試合でどれだけ点を取れるか。良い状態で３試合目を迎えるためにも、１、２試合目が大事です」

　グループ最大の難敵は間違いなくスペインだ。

「この前対戦した時（2022年11月15日の親善試合で０-１）はマンツーマンの形になって厳しかった。多くのゴールは奪えないので、スペイン戦はかたい試合になると予想しています」

　良い流れを作る意味では、大会への入り方、初戦がポイントになる。

「どうしても初戦はかたさが出ます。そこで雰囲気に呑み込まれるとよくないです。なので、ハイテンションではないですが、仲間に声をかけるなどして盛り上げたいです」
 

　とにかく楽しむ。「緊張することが悪いとは思いません。試合中にボールを受けたくないとかではなくて、早く戦いたい、ワクワクする、そういう緊張感が大事。とにかく楽しむのが重要です」と田中はそう話す。

　では、世界大会で勝つための鍵は何か。田中は迷わず「繋がり」と答えた。

「攻撃面では選手同士の距離感が大事。全ての局面でマンツーマンになったら分が悪いので、繋がりを持てるかどうか。守備でもどう一人ひとりが繋がっていくかが鍵になります」

　奇跡を再び起こせるか。2011年ワールドカップ以来の世界制覇へ、田中の活躍に期待したい。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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