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初めから“ミッションインポッシブル”だったバルサ復帰。メッシはリスクを負うのに二の足を踏んだ【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2023年06月25日

「特別扱いされることも望んではいなかった」

バルサへ復帰せず、MLS行きを選択したメッシ。(C)Getty Images

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 リオネル・メッシはリスクを負うことに二の足を踏み、バルセロナへの復帰を断念した。ジョアン・ラポルタ会長はまだ付け込む余地はあると考えていたが、退団を強要された2年前の経験に懲りていたメッシは、その言葉を信用することはなかった。
 
 クラブのオフィスは正式なオファーを提示したと主張する。しかし復帰を実現させるには様々な条件をクリアする必要があり、メッシはその提案をフィクションとしか受け止めなかった。

 直接、ラブコールを送り続けたシャビとの会話はさぞ盛り上がったことだろう。23-24シーズンから一時的に移転するモンジュイックでプレーする自身の姿を想像することもあったかもしれない。

 しかし、退団2年を経てロナルド・アラウホのようなニューリーダーが誕生するなど、チームを取り巻く環境は変化している。“元10番”が復帰すれば、ドレッシングルームやピッチでの役割の見直しを余儀なくされるだろうし、人員整理も不可避だった。

 メッシにとって復帰は挑戦だった。しかし自らの希望を実現させるために、誰かを追い出したという後ろめたさを感じたくなかったはずだし、シャビが描いていたプレーマップの中で特別扱いされることも望んではいなかった。
 
 中には、競争力に見劣りするMLS行きを決断したことに対して勇気に欠けていると非難するファンもいるかもしれない。バルサが財政収支を改善し、ラ・リーガが登録を認める可能性があったことを考えると、今回の決断は消極的で時期尚早だったと指摘される余地はある。

 しかしメッシは自身が被らなければならないリスクを懸念した。もちろんバルサにもリスクはあったが、メッシに比べれば、ずっと少ない。それは、2年前に退団要求を突き付けられた上層部に再び将来を託すリスクであり、クラブの盾にされることのリスクである。復帰することになれば、メッシに降りかかるであろうプレッシャーは甚大だったはずで、それだけのリスクを冒すには、確たる確信や信頼できる仲間が必要だった。

 ラ・リーガを制覇した勢いを追い風にメッシの再獲得を目指したバルサの夢はあえなく潰えた。しかしバルサが味わった失望と同様に、メッシにも復帰を見送らざるを得なかったれっきとした理由があった。バルサとメッシの再会は双方がいくら望んでも、初めから「ミッションインポッシブル」だったのだ。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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