［J１第15節］横浜２－０福岡／５月28日／日産スタジアム

　トリコロールのスピードスターが、ついにリーグ戦のピッチに帰ってきた。

　横浜F・マリノスは５月28日、J１第15節でアビスパ福岡と対戦し、アンデルソン・ロペスの２ゴールで２－０と快勝した。この試合で、昨年７月のJ１第22節・サガン鳥栖戦以来、約10か月ぶりにリーグ戦の出場を果たしたのが、宮市亮だ。

　昨年８月、約10年ぶりに日本代表へ復帰した宮市は、E-１選手権の韓国戦で右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負い、それ以降は懸命なリハビリを続けてきた。

　そして、今年５月24日に行なわれたルヴァンカップの北海道コンサドーレ札幌戦で公式戦に復帰すると、それから中３日で迎えた今節も、78分から途中出場。短い時間ではあったが、持ち前のスピードを活かし積極的なドリブルで仕掛けるなど躍動した。

　試合後、多くの報道陣に囲まれた宮市は、「スタジアムが作り出してくれた雰囲気に改めて圧倒されましたし、心が震えました」と振り返り、こう続けた。
 

「僕のユニホームを掲げてくれる人がたくさんいて、本当にありがたかったし、プロを続けてきて良かった。そういう人たちがいなければ現役を続けるっていう選択もしなかったと思うし、感謝でいっぱいです。マリノスのチーム、スタッフ、いろんな方に支えられてここまで来られたと思いますけど、まだまだこれからなので、頑張っていきたいです」

　ただ、試合中にはヒヤっとしたシーンもあった。後半アディショナルタイム、ボールを追いかけて並走していた福岡のDF三國ケネディエブスから激しいタックルを受けたのだ。

　宮市はその後、すぐに起き上がったが、相手DFのプレーには、ケヴィン・マスカット監督もイエローカードをもらってしまうほど激怒。しかし宮市本人は、「あのシーンはいかなくても良かったかもしれないですけど、僕としてはいきたかったというか、怖さはなかったですし、試すわけじゃないですけど、やれたのは自信になりました」と語った。

　ここで思い出したのは、筆者が今季の開幕前に宮市にインタビューした時の言葉だ。

「復帰への焦りはないです。自分で“いける”と思ったタイミングで復帰できるように、毎日コツコツとできることをやっています」

　怪我から復帰した直後は、激しいプレーには自然と怖さを感じてしまうはずだ。だが、左右の前十字靭帯を断裂するなど、選手生命を脅かす怪我から何度も這い上がってきた宮市は、その経験を活かして復帰の時期をしっかり見定め、身体づくりなどを行なってきた。だからこそ、たとえ激しいタックルを受けるような場面でも、怖さを感じることなくプレーできたのだろう。

　最後に宮市は、次節のFC東京戦への気持ちも明かしてくれた。

「（横浜からFC東京に移籍した）仲川（輝人）選手にも怪我をした時に支えてもらいましたし、彼から引き継いだ背番号23を着て対戦できるのは楽しみです。マリノスらしいサッカーをして、しっかり勝点３を取りにいきたいです」

　不屈の30歳アタッカーは「まだスタートラインに立ったばかり。これを積み重ねて出場時間を長くして、チームに貢献できるように頑張りたい」と意気込む。今後の活躍に期待だ。

取材・文●金子徹（サッカーダイジェスト編集部）

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