• トップ
  • ニュース一覧
  • 「びびって守備に回って…」松木玖生が大事にした“勝負に対する気持ち”が命運分ける。自身を含め、矢印を向けきれず【U-20W杯】

「びびって守備に回って…」松木玖生が大事にした“勝負に対する気持ち”が命運分ける。自身を含め、矢印を向けきれず【U-20W杯】

カテゴリ:日本代表

小口瑞乃

2023年05月28日

チームを間違いなくけん引してきた存在

ほぼ絶望的な現実とも向き合う松木。敗退となっても「胸を張って日本に帰りたい」。(C)Getty Images

画像を見る

[U-20W杯]日本 1-2 イスラエル/5月27日/メンドーサ・スタジアム

「世界との差を見せられた試合」

 試合終了の笛が鳴ると、主将MF松木玖生(FC東京)は膝に手をついた。逆転でのグループステージ突破に歓喜するイスラエルを横目に、その表情は硬かった。

「ボックス・トゥ・ボックスは自分の一番の強み」と自負する通り、ピッチで縦横無尽に奮闘した。3試合連続のフル出場もいとわず、松木は最後の最後まで攻守に走り回ったが、もう1点が遠かった。

 3試合で一番の内容とも言える前半から、一転した。課題とされた後半の立ち上がり、日本は明確に5バックを敷いて15分間を乗り切った。その後はボールを握りつつ、松木も最前線でプレスをかけにいくなど、再び4バックに戻して流動的にポジションを変えていく。

 だが、数的優位になった終盤20分間、主導権を握ったのはイスラエルだ。

「びびってしまって守備に回ってしまっているのが一番の要因。プレスの合わない部分も修正できなくなっていった」

 またしても、じりじりと潮目は変わり、一気に相手の圧にのみ込まれた。最後に勝敗を分けたのは、何より松木が大事にしたかった「勝負に対する気持ち」だったという。

 実際に、終盤の相手の数的不利を感じさせない“執念”や“気迫”は日本を圧倒的に上回っていた。一歩の寄せ、局面局面での集中度。日本には足りなかった。自身も含め、チームをそうした矢印に向けきれなかった事実が、松木の悔しさを倍増させる。

「やっぱり勝負に対する気持ちの部分、最後に足が伸びてくるところは日本と海外の差。個人個人が見つめ直さないといけない」
 
 アジアカップに続き、チームを間違いなくけん引してきた存在だった。練習では先頭に立ち、試合でもキャプテンマークを巻いて「戦う気持ち、勝負のこだわりを植え付けていきたい」と、誰よりチームを鼓舞し続けた。強烈なキャプテンシーは疑いようがない。同時に、それは独りよがりでない立ち振る舞いでもあった。

「昔の自分だったら『自分が自分が』ってなると思うけど、周りを活かしつつ、周りを活かしていけるようなプレーをしたい」

 このチームに本格的に松木がやってきたのは昨年11月のスペイン遠征。一直線に考えるのでなく、全体をコントロールし、周囲との調和も大事にすることが勝利につながると信じ、副キャプテンや他のメンバーも頼りながらチームを束ねていく姿が印象的だった。

 ただ、“世界一”へ向かう目標は、無情な形で閉ざされることになりそうだ。

「まだ可能性は残っているので、そこに希望をかけながら」と語りつつも、ほぼ絶望的な現実とも向き合っていた。

「もし無理だったとしても、胸を張って日本に帰りたい」

 コロンビア戦では勝点1を取りこぼすPK失敗もあった。それでも逃げずに、顔を必死に上げている。

 冨樫剛一監督も、「サッカー選手として、彼らはもっと成長したいだろうし、ここから先も続いていく。ワールドカップのグループリーグでアフリカ、南米、そして欧州の3チームと戦えたことは、彼らの成長に間違いなく影響する」と、ここでプツンと糸を切らしてはいけないことを強調した。

 キャプテンとして、初めての世界舞台で3試合を戦い、これまでにない「差」と「悔しさ」を味わった濃密な期間。何度でも立ち上がらなければいけない。松木玖生というサッカー選手は、ここで終わるような男ではないはずだ。

取材・文●小口瑞乃(報知新聞社)

【PHOTO】U-20日本代表の出場16選手&監督の採点・寸評。及第点は強度の高いプレーで奮闘した髙橋のみ。2失点目に絡んだ高井は厳しい評価に

【U-20W杯PHOTO】アルゼンチンで戦うU-20日本グループリーグ3試合を厳選ショットで振り返る!

【U-20W杯PHOTO】坂本弾で先制も痛恨の逆転負け…土壇場で最下位は回避|U-20日本 1-2 U-20イスラエル
【関連記事】
痛恨の敗戦も土壇場で最下位を回避…U-20日本代表、“奇跡の決勝T進出”の条件は?【U-20W杯】
【採点寸評|U-20日本代表】試合の入りは悪くなかったが…数的優位も活かせずまさかの逆転負け[U-20W杯 日本1-2イスラエル]
「センセーショナルな大惨事」U-20日本代表、数的優位でまさかの逆転負けに伊紙がばっさり「ひどい冗談」
「なぜ日本は手を打たないのか」敵将に弱点を見破られたU-20代表にブラジル人記者が苦言「19歳には見えない」と称賛したのは?【U-20W杯】
うつむきながら言葉を紡ぐ。佐野航大、2つの悔恨。イスラエル戦の苦い記憶はきっと財産になるはずだ【U-20W杯】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ