【U-22日本代表】ひとり3役をこなす手倉森監督の秘蔵っ子。矢島慎也が最終予選の鍵を握る

カテゴリ:日本代表

飯尾篤史

2015年12月14日

岡山へのレンタル移籍で「プレーの幅がさらに広がった」

岡山でボランチとして起用されプレーの幅を広げた矢島は、プレースキッカーとしても期待されている。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

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 リオ五輪アジア最終予選を前にして、矢島慎也が存在感を高めている。
 
 10月10日のU-22イエメン戦で左サイドハーフとして先発出場すると、今度はU-22ウズベキスタン戦でも今度は右サイドハーフとして先発起用された。今遠征で2試合連続スタメンを果たしたのはCBの岩波拓也と矢島のふたりだけ。そうした起用面のみならず、ウズベキスタン戦では2列目から飛び出し、最も多くの決定機を作ってみせた。
 
 3分には亀川諒史の左サイドからのクロスに右足のボレーで合わせたが、GKの正面を突く。9分にはオナイウ阿道のスルーパスから右足を振り抜いたが、GKに弾かれた。23分には鈴木武蔵のシュートをGKが弾いたところをボレーで狙ったが、バーの上へ。左サイドハーフに移った後半の64分には、ペナルティエリア左サイドで鈴木のヒールパスを受け、狙いすましてシュートを放ったが、ゴール右ポストに弾かれた。
 
「チャンスは作れているので決めないと……」と本人は悔やんだが、得点力不足をなんとか解消したいという意気込みを強く感じさせるプレーだった。
 
 もともと矢島は14年1月にチームが立ち上げられて以降、負傷で辞退した今年2月のシンガポール遠征を除き、全活動に招集されてきた手倉森誠監督の“秘蔵っ子”だ。
 
 もっとも、昨季は所属していた浦和で出場機会に恵まれていなかったため、9月のアジア大会ではゲーム体力や試合勘に不安を残した。また、複数のポジションをこなせるのも強みだが、そのユーティリティ性が仇となり、代表チームでは“便利屋”として起用されるゲームも少なくなかった。
 
 転機となったのは15シーズンの岡山への期限付き移籍だ。2シャドーのレギュラーとして起用され、ゲーム経験を養うと、シーズン途中からはボランチで起用されるようになり、運動量や守備意識を高めることにつながった。
 
「レッズに上がってから自分の理想のプレーができなくなっていたんですけど、岡山に来てそれを取り戻すことができた。それにボランチで起用してもらってプレーの幅がさらに広がった。成長できたと感じた1年だったので、岡山に行ってよかったと思います」
 
 代表チームにおいて矢島の価値をさらに高めているのが、プレースキッカーとして資質だ。現チームには、プレースキックを蹴る選手が限られており、数少ないスペシャリストだった野津田岳人が負傷してしまった今、矢島に懸かる期待も大きい。
 
「岡山でもキックを任されるようになったし、U-22代表にはタク(岩波拓也)、(植田)直通、(遠藤)航くんと、空中戦に強い選手が多いので、しっかりと合わせて、キッカーとしても監督から信頼されたいと思っています」
 
 関根貴大、前田直輝との右サイドハーフのポジション争いは、左右両サイドでプレーできるだけでなく、インサイドハーフやボランチもこなし、プレースキックも蹴れる矢島が一歩リードした印象があり、それを証明するかのような2試合連続スタメンだった。
 
 2列目のアタッカー、プレースキッカー、ユーティリティプレーヤー。ひとり3役をこなす矢島は、得点力不足解消の、複数のシステムを使い分けるチーム戦術の、鍵を握っている。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)
 

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