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親善マッチでPK戦を実施。U-22代表の面々は本番仕様で真剣勝負。結果は4-3で勝利。決めたのは?

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2023年03月29日

ベルギー選手は冗談を交えパネンカを要求

大岩ジャパンはベルギーに2-3で敗れるも、PK戦では勝利した。(C)Getty Images

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[国際親善試合]U-22日本 2-3 U-22ベルギー/3月27日/ピナタル・アレーナ

 異様な光景だった。

 U-22日本代表は現地時間3月27日、U-22ベルギー代表と対戦し、2-3で敗れた。試合終了後、両チームの選手たちは引き上げない。グラウンドの中央あたりに集まり、水を口にしながら輪になって話をしている。テレビのフラッシュインタビューでは大岩剛監督や鈴木唯人らが試合の感想を口にしている最中、実はPK戦が行なわれていたのだ。

 今から約3か月前、カタール・ワールドカップにおいて、日本はラウンド・オブ16でクロアチアにPK戦で敗れたのは記憶に新しい。そこから様々な議論が行なわれ、初の8強入りを果たすべく、“11メートルの攻防”を制するために強化を進めてきた。アンダーカテゴリーのゲームでは結果に関わらず、PK戦を行なった親善試合もあり、経験を積む場を選手たちに提供してきた。

「PKのトレーニングはずっとやってきているので、選手たちもそこで堂々と立てるかなって思う。PKは入る確率が高くても外すもの。努力して、トレーニングしてやってきた結果であれば、それは監督が受け止めるしかないと思うので、PKに関して自分は思い切って蹴ってほしい」

 U-20アジアカップの大会期間中に、U-20代表を率いる冨樫剛一監督も口にした通り、努力をしてきたとしても、勝利の女神が微笑まない時はいくらでもある。

 とはいえ、PKのトレーニングを疎かにすることはできない。特にプロに入れば、PK戦を経験する場は限られている。所属クラブでは一発勝負のトーナメント戦が天皇杯やルヴァンカップぐらいしかなく、選手によっては久しく蹴っていないケースも珍しくない。だからこそ、今回のように代表戦で試合後に本番に近い形でPK戦を味わえるのは貴重な経験となる。

 そうした点も踏まえ、ベルギー戦後にPK戦が行なわれた。元々、日本サイドから引き分けの場合において、PK戦を持ちかけたという。一方、U-21欧州選手権を6月に控えているベルギー側からは、結果にかかわらず、PK戦の実施を提案され、異例の勝負が実現となった。
 
 結果は4-3で日本の勝利。後攻の日本は4人目の山田楓喜(京都)が失敗したものの、山本理仁(G大阪)、細谷真大(柏)、西川潤(鳥栖)、藤田譲瑠チマ(横浜)が成功してみせる。GK小久保玲央ブライアン(柏)はストップできなかったが、相手のシュートミスに助けられて勝利を掴んだ。

 公式戦と同じようなヒリつく緊張感はなかったかもしれない。実際にベルギー側は明らかに緩んでいるように見え、ベンチの選手からは冗談を交えながらパネンカを要求するような声もあった。しかし、そうした状況下でも日本の選手たちは集中してPK戦に挑んでいた。この試合でキャプテンを務めた藤田は言う。

「自分たちは試合で負けてしまったので、PK戦は絶対に勝つ。そういう話をして入りました。ベルギーは少し緩んだ空気でやっていましたけど、自分たちは(待機中の)並んでいるところでも絶対勝とうという想いがあった」

 いかに本番に近いシュチュエーションで行なえるか。そうした一つひとつの経験が自分たちの糧になる。

「サッカー協会としても新しいチャレンジ。当然、お互いの協力もあってのことで、(要望していた)ドイツ戦はできない状況だったけど、PK戦をやることに意義はある」とは大岩監督の言葉。こうした経験を蓄積させていき、チームは来る時に備えていく。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

【動画】2点のビハインドを追いつくも…大岩ジャパン、ベルギー戦ハイライト
 
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