世界的な大富豪であるイーロン・マスク氏が、マンチェスター・ユナイテッドの買収に乗り出したと英紙『Daily Mail』が報じている。

　昨年11月、クラブのオーナーであるグレイザー一族が所有する株式を売却する用意があると言及し、以降は買収に関する噂が絶えず伝えられてきた。一部報道では今週金曜日が候補を募るデッドラインとされており、カタールとサウジアラビアの中東資本、クラブＯＢであるデイビッド・ベッカム氏が率いる投資グループ、さらには英国きっての資産家であるジム・ラトクリフ氏らが有力候補に挙がっている。

　そんななか、『Daily Mail』紙がマスク氏の動向を紹介。「側近の人物によると、彼はマンＵ買収への状況をくまなくチェックし、可能性を模索しているようだ。その人物は『もしチャンスがあるなら、彼が決して逃さないだろう』と話している」と伝えた。

　いまや『テスラ』『スペースＸ』『ツイッター』と３つの巨大企業を傘下に収めるマスク氏は、昨年末に『フォーブス』誌が発表した世界長者番付で、１年３か月ぶりに首位の座を明け渡したものの、総資産1813億ドル（約24.47兆円）で堂々の２位につけた。ちなみにトップは高級ブランド『ルイ・ヴィトン』などを手掛けるベルナール・アルノー氏で、その資産額は1862億ドル（約25.13兆円）となっている。

　グレイザー一族の提示額は最低でも50億ドル（約6750億円）と言われており、もし実現すれば、プロスポーツクラブの買収で史上最高額となる（現時点の１位は昨年夏にNFLデンバー・ブロンコスが買収された際の46億5000万ドル）。

　昨年10月、マスク氏が『ツイッター』の買収に投じた総額は440億ドル（約５兆9500億円）。『Daily Mail』紙は「マスク氏の資産額ならば十分にマンＵの買収は可能だ」としたうえで、「いかんせん時間が無さすぎるか。ライバルたちと鎬を削るための準備が間に合わないかもしれない」と現実的な見解も示した。
 

　実はマスク氏は、マンＵの大ファンを公言している。

　昨年夏にサポーターたちがグレイザー家の退陣を強く求める運動を起こした際には、ツイッター上で「私がマンチェスター・ユナイテッドを買収しよう」と綴って世界を驚かせた。その直後に「ツイッターならではの冗談さ。どんなスポーツチームも買収していないよ」とジョークだと明かすも、「とはいえ、そんな（買収する）チームがあるとしたら、マンＵだろうね。私が子どもの頃からのお気に入りのチームだからだ」と含みを持たせた。

　はたしてサッカー界の“最高級ブランド”を巡る買収騒動はどのような展開を辿り、どのような結末を迎えるのか。まもなくファイナルアンサーが提示される見込みだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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