[高校選手権準々決勝] 岡山学芸館 ４－０ 佐野日大／１月４日／等々力

　僅差の試合をモノにしてきた県予選から、佐野日大のスタイルは変わらない。

「うちは我慢する試合がやっぱり多い。県リーグで頑張っているチームなので、どことやっても格上が相手。そうしたなかでも、佐野日大のプライドをしっかり持ち、苦しい時間があるかもしれないけども、耐える力や仲間を思いやる気持ち、助け合う気持ちを養ってもらいたい」

　自身もチームOBである海老沼秀樹監督が話す通り、粘り強い守備からのカウンターがチームのスタイル。選手権ベスト４まで進んだ前回の出場時と同様、今回も２回戦の奈良育英戦は１－０、３回戦の履正社戦は１（5PK4）１と粘り強く勝利を引き寄せ、勝ち上がってきた。

　準々決勝の岡山学芸館戦も、ゲームプランは明確だった。５バックと中盤４人でしっかりブロックを敷き、粘り強い守備からロースコアに持ち込むのがチームの狙い。

「(岡山学芸館は)すごく良いチームなので、相手以上に自分たちはやらないと勝機は見出せない。相手より頑張ろう」と指揮官に送り出された選手は立ち上がりから懸命に戦ったが、前半12分にクロスのこぼれ球を押し込まれた。

　ただ、追い掛ける展開は想定内で、「岡山学芸館さんは力があるチームなので、０－１は仕方がないと思っていた」（海老沼監督）。０－１のまま時計の針を進め、残り20分で勝負を仕掛けていこうと考えていたが、後半13分に２点目を献上。
 

　攻めるしかなくなった残り時間は高い位置でプレーしようとしたが、カウンターを受けるリスクが頭をよぎり、思うようにラインを上げられなかった。残り10分を切ってからも、２度ゴールネットを揺らされ、０－４でタイムアップ。大会を盛り上げた佐野日大の躍進はベスト８で終わりを告げた。

　前回大会のベスト４を超える成績は残せなかったが、今年の代の成長は著しい。入学時からコロナ禍で遠征にほとんど行けず、宿泊を兼ねた合宿に行けたのも昨年の夏休みが初めて。なかなかチームとしてまとまる機会がなかったが、徐々に一体感が生まれ、選手権予選以降は佐野日大らしい粘り強いサッカーができた。

　前評判以上の結果を残せたのは確かで、海老沼監督はこう口にする。「うちの子たちにとって、(選手権は)ハレの舞台。お客さんが入って、こういう良いスタジアムで、こういう良い環境の中で試合をやらせて頂くのは、すごく光栄なこと。子どもたちは実力以上に力を出して、頑張ってくれました」。

　後輩たちにも、３年生の頑張りは伝わっている。「今年の代は粘り強さ、全員諦めない気持ちがあった。最後までボールを追うし、空中戦も負けない。そういった気持ちが飛び抜けていたので、そこが凄いなと思っていました」と口にするのは、GK平岡倖輝(２年)だ。

　今回、３年生が見せた戦いぶりは下級生にチームの伝統として受け継がれていくのは間違いない。試合後には、３年生から下級生に対して「絶対に来年はベスト８を超えてくれ。自分たちの歴史を超えてくれ」とのメッセージが送られた。

　今回の敗戦は想いを叶えるためのスタートでもある。想いと伝統を受け継いだ下級生たちは来年、さらなる躍進を遂げるだろう。

取材・文●森田将義

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