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ベスト8から先は“違った領域”。セルビア代表コーチとして臨んだカタールW杯で込み上げた偽りなき本音【喜熨斗勝史の欧州戦記】

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2022年12月25日

歩んできた22か月に悔いなし

カタール・ワールドカップに臨んだストイコビッチ監督(写真右)と喜熨斗コーチ(写真左)。

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 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。“ピクシー”と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。今回はセルビア代表コーチとして臨んだカタール・ワールドカップを振り返ってもらった。
 
――◆――◆――
 
 あっという間の20日間でした。

 セルビア代表コーチとしてカタール・ワールドカップに臨み、結果は1分2敗でグループリーグ敗退でしたが、個人としては2年間弱戦ってきた経験は何物にも代えられないものでした。ここに至るまでの過程に後悔はありません。

 初戦・ブラジル代表戦。ルサイル・スタジアムのベンチサイドでセルビア国歌を歌った時は「ああ、これがワールドカップなんだな」と感じました。当然ですが、テレビで観ていた祭典とは違っていました。58年の歳月をかけて、この舞台に立てた。その一つひとつの積み重ねが誇りであり、緊張感よりも喜びが勝っていました。

 試合のほうはご存じのように0-2で敗戦。前回コラムでも記しましたが、11月14日のチーム始動の時点で、FWアレクサンダル・ミトロビッチやFWドゥシャン・ヴラホビッチ、MFフィリップ・コスティッチら核になる選手が負傷した状態で合流した影響は少なからずあったと思います。

 前半はブラジルの攻撃を耐えましたが、我々の攻撃時間が少なくて体力消耗。そのうえ、後半の勝負どころで万全の状態の選手を送り出せなかった。そしてブラジル代表FWリシャルリソンのゴラッソ。こちらの持ち駒の少なさと、相手の個の高さで押し切られた形です。

 ただ、ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)も口にしていましたが、負けても悲壮感がなかったのは事実です。第2戦・カメルーン代表戦こそがすべてでした。

 後半早々に3-1でリード。そのまま逃げ切っていれば良かったのですが、より前がかりになってしまい、カウンター2発に屈しました。もちろん守備ブロックを作っていれば勝点3が保証されていたわけではありません。極端な話、我々のストロングポイントは攻撃力。守るよりもさらに得点を奪いにいくスタンスを貫き通した結果です。
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