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「今大会で最大の驚きだ」と敵将も称えたモロッコ。“熱気”を宿す土壌を活かし、世界4位の財産を積み増していけるか【W杯】

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2022年12月18日

国王の名を冠した練習施設を建設して選手発掘、育成にも尽力

モロッコの躍進を牽引したアムラバト(4番)。欧州強豪クラブから獲得オファーが殺到している。(C)Getty Images

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 カタール・ワールドカップ(W杯)は現地12月16日、ハリファ国際スタジアムで3位決定戦が行なわれ、前回準優勝のクロアチアが欧州・南米以外で史上初の3位を目ざしたモロッコに2-1と競り勝った。クロアチアのグバルディオルが7分に先制すれば、モロッコも2分後にダリが決めて同点。42分にオルシッチが決めて突き放したクロアチアが逃げ切った。クロアチアの3位は初出場の1998年フランス大会に続く2度目だ。

「(勝って)表彰台に上りたい」というモロッコのレグラギ監督の願いはかなわなかった。準決勝に進出した時点でアフリカ勢のW杯最高成績を塗り替え、2002年日韓大会で韓国が達成した4位を上回ることができるか注目された。

 グループステージ初戦で0-0と引き分けたクロアチアに、最後の試合で再度顔を合わせる奇縁。先制された直後に追い付き、「試合ごとにレベルを上げて、エネルギーに溢れ、自分たちで士気を高めるチームに成長していった」とクロアチアのダリッチ監督も認める力が、ふたたび頭をもたげるかに見えた。

 堅固な守備が持ち味のモロッコだが、ベルギー、スペイン、ポルトガルを葬り去ってきたことからも分かるように、この日も欧州勢を十分に後ずさりさせる攻撃力を発揮して反撃した。なかでもジイェフの奮戦には、この試合に懸ける意気込みが感じられた。定位置の右ウイングでスタートした彼は、逆サイドのブファルとのポジションチェンジにとどまらず、広範に動き回ってボールを呼び込み、攻撃を操った。チームメートもそんなエースに、信頼してボールを預けた。

 だが、前半終了近くにオルシッチのクリーンシュートでふたたびリードを許し、後半も果敢にクロアチアゴールへ迫ったものの、あと1点が遠かった。モロッコにとって、この一戦が「特にメンタル面で厳しいものになる」(レグラギ監督)ことは想定済み。この快進撃の代償に、サイス、アグエルドのセンターバックコンビは負傷回復が間に合わず。後半には足に痛みを訴えたその代役、ダリとエル・ヤミクが相次いでピッチを退くという不運に見舞われた。「勝つために全力を尽くす」(レグラギ監督)。その余力は残っていなかった。

 モロッコが、アフリカが、そしてサッカーの第三世界が「新しい景色」を見ることはできなかった。とはいえ、今大会におけるモロッコの躍進が、決して色あせるわけではない。しっかりした守りから技術の高さを活かして攻め込むというスタイルを貫き、「観ていて楽しい、今大会で最大の驚き」(ダリッチ監督)という評価さえ受けた。

 ただ、欧州トップクラスの粘り強い攻めに混乱し、攻撃ではジイェフとハキミのコンビでペナルティーエリア内までは進入するものの、狭いスペースではシュートに持ち込む前につぶされた。ヘディングが強いエン=ネシリも、そうそう楽に空中戦を制することができるわけではない。
 
 今後はカタールでの活躍を土台に、その財産をいかに積み増していくか。今大会で一躍評価を高めた守備的MFでフィオレンティーナ(イタリア)所属のアムラバトには、早くもトッテナム・ホットスパー(イングランド)など欧州主要クラブが触手を伸ばしているという報道もある。こうしてさらにレベルアップの機会をつかむチャンスがある一方、首都のラバト近郊にはサッカー好きの国王ムハンマド6世の名を冠したトレーニング施設を建設して選手発掘、育成にも力を注ぐ。

 カタールの各会場を赤く染めてホーム感を演出したサポーターからも分かるように、サッカーへの熱気を宿している土壌もある。その期待に応えるべく、「我々はさらに強くなって戻ってこなければならない。大衆は私たちを待っている。やるべきことは、まだある」とレグラギ監督はあくなき意欲を示した。

取材・文●石川 聡

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