機転を利かせた宇佐美が、悶着に割って入る形で収束したが…。
その“小競り合い”が起きたのは、前半終了の直後だった。
審判が前半の終わりを告げると、G大阪のCB岩下敬輔が自陣エリア付近から猛然とダッシュ。その先に立っていたのはFWパトリックだ。
岩下が体当たりするような形となり、怒りの形相で「もっと前線から追え!」といった大きなジェスチャーを見せる。一方、唐突に小突かれた形のパトリックも一歩も引かず、「うるさい!」とばかりに岩下の手を払った。
ともに憤怒し、言い争いをしながら控室へ向かう。時間にして十数秒。記者席にも聞こえてきそうなほどの悶着は、機転を利かせた宇佐美貴史が割って入る形で収束した。エースが仲裁に入らなければ、さらにヒートアップしていた可能性もあった。
なぜ岩下は、それほどまでに激怒したのか。その理由はこうだ。
「(守備のためにパトリックが)下がって来ているのなら、目の前の選手に寄せてくれないと。俺ら(守備陣)が行くわけにもいかない。やっぱり約束事を守らないと、もったいない失点が生まれてしまう。(川崎側にチャンスを)仕留めるだけの選手がいるのはデータから分かっているわけで、スカウティングの内容を練習でどれだけやっても、試合でやらなかったらなにも意味がない」
G大阪は綿密にスカウティングし、3ボランチ気味のシステムで川崎対策を講じていた。しかし、パトリックが守備を怠り“規律違反”を犯したため、闘将の岩下がすぐにお灸を据えた、というのが真相のようだ。