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【千葉】今季限りで退任決定のユン・ジョンファン監督とともに。3年間の集大成とプレーオフ進出へ見せるべきもの

カテゴリ:Jリーグ

石田達也

2022年09月11日

金沢戦は1‐0で勝利

今季限りでの契約満了が発表されたユン・ジョンファン監督。チームは指揮官とともに昇格プレーオフに進出できるか。(C)SOCCER DIGEST

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[J2第35節]千葉1-0金沢/9月10日/フクダ電子アリーナ

「誰も諦めずに得点を取ることを意識して、1点を取る気持ちで一人ひとりがプレーをしました。1点で十分だという気持ち、1点を取れば勝てるチームにしていきたいと思っていますし、ユン(ジョンファン)監督と残り7試合、プラス3試合(J1参入プレーオフ1回戦、2回戦、決定戦)を一緒に戦いたいと思っているので、そこに向けて進んでいくだけです」

 守護神・新井章太は金沢戦後に振り返った。

 この金沢戦から始まる3連戦は、今季のプレーオフ圏内進出を占う正念場でもあった。そんななか、3年間、チームの指揮を執っていたユン・ジョンファン監督が今季をもって契約満了となり、退任することが9月9日に発表されたばかりであり、チームが動揺してもおかしくはない状況でもあった。

 序盤は静かな立ち上がり。17分、FW櫻川ソロモンのシュートは相手GKに止められたが、ここから千葉の勢いは加速していく。31分にはアーリークロスを櫻川がヘディングシュートで狙うがポストに嫌われるなど押し込む時間は続き、確実にゴール前へと迫っていく。すると57分に試合は動く。DFチャン・ミンギュの縦パスを櫻川がワンタッチ。これをFW高木俊幸がマイナスに折り返しDF西久保駿介が鋭いクロスを送ると「自分がこじ開けるしかない」と思っていたMF見木友哉が右足で合わせた。

 この1点があれば十分だった。攻守での切り替えの速さで金沢を上回り、球際で戦ったことでセカンドボールをモノにし、勝利を手繰り寄せた。そしてピッチに立つ選手全員が身体を張り、粘り強く集中したディフェンスで金沢の攻撃を跳ね返し続けてクリーンシートを達成した。






 
「ここ数試合、切り替えの速さが出ていて全体的に球際にいけている。そこで勝てていたので結果に出て良かったと思います」(新井章)。

 守備でリズムを作り、攻撃に移る。この金沢戦にはユン・ジョンファン監督のエッセンスが詰まっていた。

 昨季は組織的な守備を定着させ13戦無敗を記録。4年ぶりのひと桁順位となる8位(17勝15分10敗)に導いた。

 プロ1年目からユン・ジョンファン監督の下でプレーした見木は守備でのハードワークや忍耐強さを鍛え上げられた。「間違いなく守備の部分で成長させてもらいましたし、チームの守備も改善できたと思っています」と話すと、新井章は「守備への意識次第で変われると思えた3年間。一人ひとりの意識や守備能力が高くなったと思います」と指揮官と築き上げた濃密な時間を口にした。

 しかし、3年目となった今季は多数のコロナ陽性判定者が出た影響や怪我人が続出するなどベスト布陣を組めず。鍛え上げた守備力で奮闘するも流れのなかから得点を挙げる部分が欠け勝点を伸ばせなかった。

 新井章は胸の内を次のように吐露する。

「ユン監督には感謝しかありません。早い段階で退任を発表しなければいけなくなったのは僕らの責任。点を取って勝てる試合がもっとあれば、こんなことにならなかったと思いますし、それはピッチに長く出続けていた僕の責任でもあります。チーム全員が勝たせたかったと強い思いはあるので、そこだけは悔しい……」

 新井章は千葉に加入してからの3年間で113試合でピッチに立った。今季は34試合に出場し、最後の砦としてゴールを守ってきたが、「ユン監督でなければ代えられていたかもしれませんし、そのなか、辛抱強く使ってくれたからこそ常にチームに助言することができたと感じています。感謝をしながら、ユン監督のサッカーを残り試合で体現していきたいと思っています」と、その想いを言葉にした。

 現時点で千葉は勝点49を積み上げて10位。プレーオフ出場圏内まで6ポイント差と射程距離に捉えているからこそ、一戦必勝を積み重ねることが重要となるはずだ。今は簡単に崩れる気配はない。ただいずれにしても上位進出には攻撃陣の奮起が欠かせないが、この金沢戦のように流れの中から決め切ることが終盤の鍵になる。

「プレーオフにいけば絶対に勝てるチームだと思うし、あとはこれを積み重ねていくだけです」(新井章)。

“なんとしてもJ1に昇格する”。ユン・ジョンファン監督の下で一致団結し最後まで全力を尽くす。前に進んでいく熱量はどのチームにも負けていない。

 “ユン・ジョンファン千葉”は、その目標が叶うまで戦い続ける。

取材・文●石田達也(フリーライター)
 
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