現地時間５月28日、パリ近郊サンドニのスタッド・ドゥ・フランスでチャンピオンズ・リーグ（CL）の決勝が開催され、レアル・マドリーがリバプールに１－０と勝利。４シーズンぶり14度目の戴冠を果たした。

　このビッグマッチでは、試合前に観客の入場が混雑し、キックオフが35分遅れるという異例のトラブルが起きていた。欧州サッカー連盟（UEFA）は、「偽チケットを購入した数千人のサポーターによってリバプール側の入場口が機能しなくなったため」と事情を説明。だが、事態はそう単純ではなかった。

　複数の英メディアによれば、地元警察などは偽チケット所持者をはじき、正規チケットを所持したファンを入場させるための措置を取ったが、入場できないファンが周辺に滞留。柵を無理やり乗り越えて入場するファンも出たため、催涙ガスなどを撒くことになったという。だが、この措置の際にサポーターへの暴力行為があったと報告があり、リバプールは「失望した」と声明を発表。UEFAやフランス当局に正式な調査を要求するとしていた。
【動画】押収された偽造チケットと入場できなかったリバプールファンの肉声。催涙ガスを使われたと訴える女性も…

　一方、地元フランス側の言い分も報じられている。同国のジェラルド・ダルマニン内務大臣は、自身のツイッターで、スポーツ省のアメリ・ウデア＝カステラ大臣とともにスタッド・ドゥ・フランスの警備コントロールルームに滞在する画像を投稿。

　そして、英国人の“サポーター”を自称している人々に対して皮肉をこめ、「数千人がチケットを持たず、あるいは偽造チケットで強引に入場し、時には警察官に暴行も加えた」と痛烈に非難。「この困難な状況の中、動員された多くの警察官に感謝する」と綴っている。

　また、パリ警察も偽造チケットの画像を公開し、「警察官の働きにより、現場で50枚以上の偽造チケットを押収し、入場を防ぐことができた。逮捕者は１名」と報告した。加えて、スタジアム周辺以外の市内も含めれば68人の逮捕者があり、174人が軽傷を負ったと報告しており、後者には、警察がファンを散らすために使用した催涙ガスや唐辛子スプレーを浴びた人々も含まれるようだ。

　今回のCL決勝では、事前に偽造された転売チケットが確認されており、リバプールも「購入した場合はクラブに報告してほしい」という声明を出していた。だが、すでに多くが出回ってしまったため、その対応が”間に合わなかった”というのも、今回の騒動を引き起こした一因であるとみられる。

　UEFAとフランス当局、そしてリバプールの今後の対応が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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