伊東から南野――電光石火の先制ゴールに見られた森保ジャパンの確かな狙い

カテゴリ:連載・コラム

河治良幸

2022年02月03日

相手のスローインをマイボールにするところから始まった

最終予選では待望の初ゴールを挙げた南野。狙いを定めて長い距離を走り、最後は冷静なフィニッシュでネットを揺らした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 カタール・ワールドカップのアジア最終予選・第8節で、森保一監督が率いる日本代表はサウジアラビアに2-0で勝利。前回アウェーのリベンジを果たすとともに、他会場でオーストラリアがオマーンと引き分けたこともあり、最終予選の突破に大きく前進した。

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 MOMは間違いなく1得点・1アシストの伊東純也で、予選4試合連続得点など存在感は増すばかりとなっている。32分に挙げたゴールは伊東の素早いサイド突破からのクロスをゴール前で大迫勇也がスルー。その向こう側にいた南野拓実がファーストコントロールからアル・アムリを左にかわし、シュートは飛び込むGKアル・オワイスの足に当たりながらもゴールを割った。

 伊東の突破力と南野のゴール前での冷静さがうまく合わさってゴールになったが、チームとしてゴールに矢印を向ける狙いが結び付いた得点だった。それは起点となった遠藤航のクサビのパスに表われていた。この攻撃は相手のスローインをマイボールにするところから始まっている。

 右SBのアル・ガンナムが投げたボールを、谷口彰悟と板倉滉の合間に落ちた遠藤がヘッドでクリアしたボールは長友佑都に当たって遠藤のボールになる。そこから中央でアル・シャハラニを背負う伊東に縦パスを付けると、伊東はワンタッチで酒井宏樹に落として、鋭く右斜めに走って酒井からのパスを引き出した。
 
 伊東はフリーランでアル・シャハラニを外から抜き、さらに自分より有利なポジションだったアル・ブライヒに追い付くとショルダーでバランスを崩させて前に出ながら酒井のボールを受けて、右足のマイナスクロスにつなげた。ただスピードでぶっちぎったわけではなく、タイミングと走る角度も見事だった。さらにボディコンタクトを制することでフリーの状況を作り出したのだ。

 もちろん、この一連の流れでの伊東の連続的なランニングと、トップスピードでも落ちない技術を示すゴールだった。遠藤が起点の縦パスを伊東に付けてから南野がボックス内でシュートを打つまで10秒足らずだが、サウジアラビアのスローインを日本ボールにした時点で南野は自陣の左側、遠藤とほとんど変わらない位置にいた。

 そこから60メートルぐらいスプリントして伊東からのボールを受けたわけだが、日本の攻撃の流れに対してサウジアラビアの守備がボールサイドに寄るのを見ながら、その死角を狙うコース取りで走っていた。つまり南野はゴール前での落ち着きを見せるだけでなく、遠藤、伊東、酒井、さらに伊東とつながる間に狙いを定めて走り込んでいたのだ。

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