アジア最終予選のサウジアラビア戦は２-０で完勝に近い形で勝ち切った。攻守にわたり、良いサッカーが出来ていたと思うし、あまり言うことはないよ(笑)。

　立ち上がりこそ、サウジアラビアのパス回しに振り回されそうな気配もあったが、日本は中盤の高い位置から積極的にプレスを掛けに行き、まったく隙を見せなかった。先制点が生まれるまでは決定的なチャンスもさほどなかったが、相手の攻勢をきっちりと跳ね返し続けたからこそ、流れを呼び込めた。ディフェンスラインは終始安定していたし、中盤の３枚は局面で強さを発揮して危険なエリアのカバーも素早く、最前線の選手もプレスバックが効いていた。それぞれが堅実に役割を果たしていた。
 

　そうしたなかで、ゴールは狙いとするサイドからの攻撃で生まれた。とくに１点目は、やはり伊東の個の力が光った。日本のパス回しの中で、彼の縦へのスピードが生かされたシーンだった。２点目もラストパスは偶発的なものだったにせよ、サイドから崩そうという意図した攻撃から生まれている。そして伊東のきっちりと抑えの効いたシュートは凄かったね。

　このシリーズで大活躍を見せた伊東だけど、本人もたびたび試合の後などで言っているように、決定力はまだまだ向上の余地があるよ。サウジ戦でも、他に決めるべきチャンスは確かにあった。縦突破のスピードが彼の持ち味だけど、ゴール前ではもっとフィニッシュに持ち込むまでのドリブルの方向や角度、あるいは緩急をつけながら相手を翻弄できれば、もっと楽にゴールを獲れるようになるんじゃないかな。点取り屋としての能力にはまだまだ伸びしろを感じるよ。

　次のオーストラリア戦はいよいよ出場権が懸かる張り詰めた試合になりそうだ。３位のオーストラリアは背水の陣で果敢に打って出るしかないだろう。スペースが生まれるゲームになるだろうし、そうなったらやはり伊東のスピードが生きてくる。日本代表では初めてとなる最終予選５試合連続ゴールも夢じゃないね。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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