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【高校選手権/代表校レポート】富山・水橋|前回王者にも雪辱! 『勝負のスイッチ』で果敢に攻める

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2014年11月04日

後半途中のシステム変更で攻撃を急加速。

攻撃のキーマンとなる10番のFW吉川。全国大会までにさらに攻撃の質を高めたい。

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 水橋にとっては、リベンジの県予選だった。準々決勝では県リーグ1部で負けている富山国際大付に4-1で雪辱し、準決勝では昨年の予選決勝で敗れた全国王者の富山一を延長戦の末に3-2で撃破。決勝では今夏のインターハイ予選決勝で敗れている高岡一を、0-0からのPK戦の末に下し、4年ぶり6回目の選手権出場を果たした。
 
 水橋には『勝負のスイッチ』がある。準決勝の富山一戦、決勝の高岡一戦では、これが鮮やかに機能した。
 
 試合の立ち上がりは4-2-3-1の布陣で、攻撃のキーマンであるFW吉松和貴を1トップに、技術の高いFW吉川育良をトップ下に、そして攻守の要となるMF下鳥佑稀をボランチに置く。
 
 前半の狙いとしては、まず失点をしないこと。4バックでラインコントロールをしながら、しっかりと相手の攻撃のキーマンにマンマーク気味で対応。攻撃の起点をつぶして、奪ったボールをフリーマン的な役割の吉松と吉川のコンビに預けて、カウンターを狙う。
 
 決勝戦では、立ち上がりこそマークにズレが生じたが、「試合中にCBと話して、マークの受け渡しをはっきりとさせた」とボランチの下鳥が語ったように、CBコンビの上嶋壮太と高森康平、そしてボランチの2枚が好連係で守備に安定感をもたらすと、吉松と吉川に効果的なボールが入るようになる。このふたりを軸に、ボランチの堀芳聡、右の佐藤圭介と左の水原和輝の両サイドハーフが絡んだ攻撃で、高岡一を押し込んだ。
 
 そして0-0で迎えた後半13分、水橋は『勝負のスイッチ』を入れるのだ。
 
 スピードと突破力のあるFW北野剣士浪を1トップとして投入すると、吉松を右サイドハーフへ。さらに同31分にMF四十田蒼を投入して四十田と吉松を2シャドーとし、右SBの堀田要と左MFの水原を両ウイングバックに配する3-4-2-1にシステムチェンジした。
 
「攻撃力のある堀田がより高い位置を取りやすくなるし、吉松がサイドでうまく起点を作りながら、北野をより高い位置に置くことで、相手のバイタルエリアを突いて、ラインを下げさせる狙い」
 システムチェンジの狙いを上田裕次監督がそう語ったように、これは攻撃のギアを上げるための号砲だった。現に準決勝の富山一戦でも0-2とリードを許した後半途中にシステムを変更し、試合の流れを一変させて、劇的な逆転勝利に導いた。
 
 決勝でも後半途中からは、ワンサイドゲームに持ち込んだ。矢継ぎ早に飛び出してくる水橋の攻撃に、高岡一は凌ぐのが精一杯となった。
 
 しかし、水橋もゴールが遠い。延長戦を含めて後半以降は、高岡一をシュート0本に抑え、13本ものシュートを浴びせたが、高岡一GKの天野裕二のファインセーブもあり、最後まで均衡を破ることはできなかった。

決勝はPK戦となったが、GK村澤の好セーブで水橋が4年ぶりの選手権出場を決めた。

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 PK戦では、終了間際にシュートストップに定評のあるGK村澤壮太を投入した水橋が、村澤の2本のセーブで勝利を掴み取った。勝負はPK戦での決着となったものの、水橋は完全に試合のペースを握り、最後まで相手に渡さなかった。
 
「インターハイ予選では焦って蹴ってしまい、自分たちでリズムを崩してしまった。その反省を生かして、今日はしっかりと攻め切ろうとした。点は取れなかったが、最後まで相手を押し込めた」(吉松)
 
 県内すべてのチームにリベンジを果たした水橋は、相手を上回る攻撃力で、4年ぶりの選手権の切符を掴み取った。吉松、吉川、そして堀と下鳥のダブルボランチを中心にしたアクションサッカーは、流動的で破壊力がある。あとは全国大会までに、その質をさらに高めれば、上位進出も十分に狙える。
 
「ポジションチェンジをしながら、チャンスメイクをしていく。ただ、チャンスメイクで終わってしまっては、全国では勝てない。今後は個々のレベルアップはもちろん、スペースの作り方、飛び出し方をしっかりとやっていきたい」と上田監督。
 
 前回大会の全国王者と夏の富山王者を倒した攻撃力は、全国でも脅威となるはず。『勝負のスイッチ』で一気に勝機を手繰り寄せる水橋の攻撃的なサッカーは、ここからさらなる進化を見せるに違いない。
 
●富山県予選 決勝戦短評
水橋 0(4PK3)0 高岡一
得点者/なし
 
 序盤から守備でリズムを作った水橋が、吉松和貴と吉川育良の縦関係の2トップにボールを集め、果敢に高岡一を押し込む。だが、18分に堀芳聡の決定的なシュートが枠を外れると、49分の吉松の決定機も相手GK天野裕二の好守で弾き出されてしまう。62分には交代出場のFW北野剣士浪が抜け出すが、これも枠を捉えきれず。延長戦でも一方的に攻める水橋はチャンスを生かし切れず、勝負はPK戦へ。終了間際にGKを交代させた水橋が、狙いどおりPKストッパー・村澤壮太の2本のセーブで勝利し、4年ぶり6回目の選手権出場を果たした。
 
取材・文・写真:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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