原口の台頭で”逆に”高まる本田の価値。2列目の生存競争は、よりデリケートな局面に

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2016年10月07日

本田の"キープ力"と"決定力"への依存度は下がったが、最後の砦である"空中戦"は…。

空中戦に強い本田の価値は、原口の台頭で改めて高まった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 持てる。打てる。競れる。
 
 本田圭佑の良さは、汎用性だ。ボールを“持つ”キープ力があり、クロスやシュートなどを“打つ”決定力を備える。
 
 さらに重要なポイントは、空中戦だ。小柄なMFが多い日本代表において、182センチとやや長身で、ハイボールの落下地点の予測に優れた本田は、空中で“競る”能力が高い。ザックジャパンの頃から、CKの守備になると、本田はマークを持たず、ニアサイドでボールを撥ね返してきた。これを攻撃的MFが務められるのは大きい。DFを他のマークに回すことができるからだ。
 
 このレベルの汎用性は、日本代表では唯一と言ってもいい。起用したい選手というより、外せない選手、といったほうが合う。その意味では、戦術的アンタッチャブルだ。
 
 しかし、このところ、その重要性が、じわりと下がりつつある。
 
 決定力、キープ力、空中戦の3ポイントで考えると、決定力に関しては、原口元気が2試合連続でゴールを挙げた。浅野拓磨にはもっと頑張ってもらいたいが、前回のタイ戦では点を取った。本田、岡崎慎司へのゴール依存度は、少しずつだが、薄まっている。
 
 そして、本田のキープ力についても、その必要性は下がった。基本的に中央へ入りたがる本田だが、このイラク戦では日本がサイドアタックを重視し、右サイドでの基点作りに働いた。ただし、この役割が本田でなければならないのかといえば、疑問符は付く。81分に投入された小林悠でもいい。むしろ、カウンターに出た時のスピードや俊敏性、裏へ飛び出すクオリティを考えれば、プラス面が大きいだろう。
 
 そうは言っても、本田の右サイドでのキープ力が利いているように見えるのは、酒井宏樹のパスが今ひとつだから。
 
 酒井宏はドリブルで相手を引きつけてパスを出したり、身体を縦に向けて対角の中央へ斜めに入れたりする駆け引きが、ほぼない。“とりあえずパス”が、いつも本田の足下に来るため、ああ、本田のキープ力は利いているなと感じるのだが、本来改善すべきは、ボールを出す側である。
 
 中央に入ってポストプレーをする時は、相手を背負える本田のタメは効いてくるが、サイドでは必ずしも必要ではない。酒井宏のパス出しをトレーニングするか、あるいは別の選手を起用すれば、小林悠のほうが計算できる。
 
 ところが、最後の砦は、本田の空中戦だ。
 
 正直、これが一番大きい。この空中戦の能力があるので、本田を外すことは、日本代表では永遠に躊躇われるかもしれない。
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