【EURO2016】“本家”にはほど遠い「スペイン版MSN」を信じるべきか?

カテゴリ:国際大会

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2016年06月14日

前線の迫力不足がイニエスタの負担増に…。

チェコ戦でスタメン出場したモラタ(手前)とノリート。デル・ボスケ監督は次戦以降も彼らを起用するのか。 (C)Getty Images

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 6月12日に行なわれたチェコとのグループステージ初戦で、スペイン代表のデル・ボスケ監督は、3トップのスタメンにモラタ、シルバ、ノリートを起用した。
 
 予選で3人が同時にピッチに立ったことは一度もなく、大会前の韓国とのテストマッチ(6月1日)で初めて揃い踏み。この試合でシルバが1ゴール、モラタとノリートが2ゴールずつを決めて大勝を飾った(6-1)ことで、一躍メディアから「スペイン版MSN」と持ち上げられるようになったのだ。
 
 しかし、チェコとの初戦で明らかになったのは、悲しいまでの決定力不足。15-16シーズンのリーガ・エスパニョーラで合わせて90ゴールを叩き出したバルセロナのメッシ、スアレス、ネイマールの“本家MSN”と比べるのはもちろん酷だが、それにしてもゴールの予感にこれほど乏しければ、いかにポゼッションで相手を圧倒したとしても、先行きが不安になるというものだ。
 
 国際経験が豊富で、チェコ戦でもいくつかのチャンスに絡み、仕掛け/崩しの局面で違いを生み出したシルバも、純然たるフィニッシャーではない。裏に抜け出す動き、スペースに飛び込む感覚に才能の片鱗を覗かせたモラタだが、最後の詰めに甘さを残し、ふたつあった決定機をふいにしている。アグレッシブなドリブルでチームの推進力となったノリートにしても、左サイドから内に切れ込むワンパターンで、時間の経過とともに強引さが際立つようになった。
 
 モラタとノリートのふたりは、これが初めての国際トーナメント出場で、緊張感や高揚感がプレーを硬直化させた部分もあっただろう。だが、スアレスやネイマール、そしてかつてのスペイン代表のエースであるビジャやF・トーレスとの比較でも、スケールやゴール前でのプレゼンスで見劣りするのは否めない。
 
 前線の迫力不足は、チェコ戦でも孤軍奮闘の感があったイニエスタの負担増につながっている。シャビが代表を引退した中盤で、イニエスタはプレーメイクとチャンスメイクの両方を担っており、さらにフィニッシャーとしての役割も託されるとなれば……。
 
 果たしてデル・ボスケ監督は、今後も「スペイン版MSN」を前線で起用するのか。もしそうであれば、とりわけモラタとノリートの覚醒なくして、スペインの大会3連覇はあり得ない。

 幸い、苦しみながらも初戦を1-0でモノにしたことで、彼らも次戦(6月17日のトルコ戦)からは比較的余裕を持ってプレーできるだろう。
 
 ただ一方で、モラタや、チェコ戦で途中出場のアドゥリスというCFが、タイプ的にスペインのポゼッションサッカーにミスマッチなのも事実である。

 例えば3トップの左サイドに勝負強いペドロを置き、セスクを4年前のように“偽の9番”とするオプションも、頭に入れておいていいはずだ。
 
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