６月13日（現地時間）、EURO2016のグループステージ１節で、イタリアが２-０でベルギーを下した。
 
　優勝候補に挙げられる両チームだが、ベルギーはDF陣、イタリアはMF陣に怪我人が続出し、ベストメンバーを組めないまま本大会に臨んできた。
 
　試合は開始直後から互いに激しくボールを奪い合って相手陣内に攻め入る。序盤はイタリアがより相手ゴールに近づいたが、徐々にベルギーが長くボールを持つようになり、10分にはナインゴランがファーストシュートを放った（ミドルをGKブッフォンがセーブ）。
 
　しかし、ボールを奪われると素早く戻って守備ブロックを形成するイタリアに対し、ベルギーは効果的な攻撃を仕掛けられない。時折、速攻からチャンスを得ても、最後のところで相手の堅守に阻まれた。
 
　イタリアは、選手間の距離が的確で、仮にひとりがかわされても、すぐにもうひとりがカバーできるかたちが出来上がっていた。
 
　また攻撃では、積極的に縦パスを入れたり、複数でパスを繋いでの崩しを試みたりと、危険を恐れずに仕掛ける姿勢が見え、途中で奪われることが多いものの、相手守備陣にある程度の脅威を与えた。
 
　そんななかで先制は、やはりイタリアに生まれる。32分、最終ラインからのロングパスを、抜け出したジャッケリーニが確実にトラップし、フリーでGKクルトワを破った。
 
　その後もイタリアは、36分にCKからペッレがあわや２点目というフリーでのヘッド（わずかに枠外）を放つなど、鋭い攻めを何度も見せる。
 
　ベルギーは41分、初めて縦パスでイタリアDF陣を破ってデ・ブルイネがシュートチャンスを得たものの（DFにブロックされる）、ボールを持たされ続け、消化不良の45分を過ごすこととなった。
 
　後半、開始直後から守備がやや不安定なベルギーに対し、イタリアがサイドから攻め込み、54
分にはペッレの打点の高いヘッドでゴールを脅かす（GKクルトワが好守）。
 
　しかし、イタリアは攻撃時に悪いかたちでボールを失うことが再三あり、ベルギーにカウンターを許すようになる。相手の守備が整わないうちにゴールに迫ったベルギーは53分、デ・ブルネイの決定的なパスで抜け出したルカクが浮き玉のシュートを放つも、これはクロスバーを越した。
 
　その後も、56分にアザールが中に切れ込んで強烈なミドルを放つなど、ベルギーは攻勢を保ち、イタリアの中盤のプレッシャーがやや弱まったこともあって、パスワークから相手幾度もゴールに迫っていく。
 
　メルテンス、オリギ、カラスコと、攻撃のタレントを投入して攻勢をさらに強めるベルギーに対し、イタリアは時にファウルも厭わぬ激しく粘り強い守備で対抗。両チームがそれぞれの特徴を存分に出し合う展開となった。
 
　そんななかで、より力を発揮したのがイタリア。疲労困憊のなかでも、最終ラインは最後まで崩れることなく、再三のピンチを跳ね返し続ける。
 
　82分にベルギーはオリギ、84分にイタリアはインモービレが決定機を得るも活かせず、試合はアディショナルタイムへ。そして次の１点は、イタリアにもたらされた。
 
　前がかりになったベルギーに対し、カウンターから右サイドでボールを得たカンドレーバが、GKクルトワを引きつけて左サイドに流し、ペッレが渾身のボレーでトドメを刺した。
 
　戦前は不利が予想されたイタリアだが、まさに狙い通りの展開で初戦を制した。ベルギーは、そんなイタリアの術中に完全に嵌ってしまった。

【PHOTO】アッズーリがベルギーを封殺！