J１リーグ ２ndステージ・９節
サンフレッチェ広島 － 名古屋グランパス
８月29日（土）／19:00／エディオンスタジアム広島
 
サンフレッチェ広島
２ndステージ成績（８節終了時）：２位　勝点18　６勝０分２敗　20得点・８失点
年間成績（25試合終了時）：２位　勝点52　16勝４分５敗　49得点・24失点

【最新チーム事情】
●U-22代表を辞退した浅野も足の負傷が回復。
●前節の新潟戦でリーグトップタイとなる10回目のクリーンシート。
●柴﨑・森﨑浩の復帰は天皇杯以降（９月５日）となる見込み。
●U-22合宿から野津田と宮原が帰還。U-22では負傷で別メニューだった吉野も木曜日の練習から合流。
 
【担当記者の視点】
　前節は新潟のハイプレスに押し込まれ続けたが、それでも全員が身体を張った守備を見せつけ、さらに柏戦で３失点に絡んだ塩谷が先制点を決める活躍で屈辱を晴らした。前節、今季10回目の無失点試合（柏と並びリーグトップ）で新潟に勝利し、連敗を２でストップさせ、ステージ優勝争い・年間１位争いに踏みとどまった。
 
　平均失点はリーグ唯一の０点台（0.96）で、平均得点1.96も浦和に次ぐリーグ２位。攻守にバランスの良さを見せている今季に積み重ねた勝点は52に達し、J１残留が決定した（16位の松本が残り９試合で全勝しても勝点48）。2012・13年と連覇したチームにとっては一里塚に過ぎないが、二度も降格した経験を持つ広島だけに、残留は最低限の目標だ。そのラインを８月の段階でクリアしたことは、やはり素晴らしい。ちなみに初優勝を果たした2012年は、25試合終了時点で勝点47。シーズン前は下位低迷の危機も囁かれたが、ここまでの戦績は過去最高のペースできている。
 
　新潟戦も勝利したとはいえ、課題は山積みだ。ビルドアップが不安定でカウンターを何度も食らい、チャンスの総数そのものも少ない。だが、そこも粘り強い守備と諦めない姿勢が戻ってきた広島であれば、解決の方向へと向かうはず。
 
　負傷でU-22日本代表合宿を辞退した浅野も回復し、週末の試合には問題ないだろう。ホーム連敗中という屈辱を晴らし、優勝争いの主役に君臨するためにも、対名古屋戦は負けられない戦いとなる。練習では佐藤やドウグラス、浅野や皆川ら、FW陣が素晴らしいゴールを決めており、チャンスの回数が増えるほどに、ゴール確率も高くなるだろう。
 
「常にキレイに崩すのは難しい」と佐藤は前置きしたうえで、「もっと勇気を持って、ボールをつなぎ、運びたい。確かにリスクはあるけれど、ボールを失えば全員で奪い返せばいいこと。相手にとって危険なプレーを仕掛けるためにも、前の３人が動きを作ってボールを引き出していきたい」と話す。
 
　アウェーでは少ないチャンスを決めて勝利したが、ホームで勝つためにはチャンスの数そのものを増やす必要がある。そのための準備を整え、広島は第１ステージで完敗した名古屋に挑む。
　
名古屋グランパス
２ndステージ成績（８節終了時）：７位　勝点14　４勝２分２敗　12得点・10失点
年間成績（25試合終了時）：９位　勝点36　10勝６分９敗　30得点・28失点
 
【最新チーム事情】
●小屋松がU-22代表合宿で負傷離脱。
●トップ下にノヴァコヴィッチを置くパターンもトライ。
●L・ドミンゲスはベンチスタートが濃厚。
●田口が実戦復帰へ向け本格的に再始動。
 
【担当記者の視点】
「今はディフェンスよりオフェンスの課題が強い」（西野監督）と言うように、直近の３試合で１得点と得点力不足に悩まされている。とりわけ、前線を牽引してきた永井、川又の勢いに陰りがあることも響き、攻撃は打開策に乏しい手詰まりな状況に陥っている。
 
　課題解消には当然、永井、川又の復調は欠かせないが、一方で、前節で11か月ぶりのリーグ戦出場を果たしたL・ドミンゲスの働きもポイントとなるだろう。抜群のテクニックやキープ力は健在で、味方との呼吸さえ合えば、攻撃の局面で圧倒的な違いをもたらせる存在なのは間違いない。
 
　ベンチスタートが濃厚だが、前節と同様、攻撃が行き詰まれば後半途中での起用は十分にあり得る。「（攻撃を変化させる）可能性を感じるところもある」という指揮官の期待に応えられるかは、見どころのひとつと言えよう。