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本格的な転向は今秋、日の丸の実績は英遠征のみ…明治大の成長株はなぜサプライズ招集されたのか。最低でも4強以上――ロス五輪に繋がる大舞台へ【U-23日本代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2025年12月28日

選手のコンディション作りが非常に難しい

鋭い視線を送る大岩監督。写真:松尾祐希

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 12月28日、サウジアラビアで1月6日に幕を開けるU-23アジアカップに挑む、U-23日本代表のメンバーが発表された。

 今大会は28年夏のロサンゼルス五輪を見据えた上で重要な戦いとなる。経験値の蓄積やチームの成熟度を高めるといったシンプルな理由がある一方で、最もポイントになるのがロス五輪のアジア最終予選に大きく関わってくる点だ。

 次回のU-23アジアカップは28年開催予定で、ロス五輪の最終予選を兼ねている。ポット決めは直近3大会の結果に基づいて決められるが、今回のアジアカップが最も重視されるレギュレーションになっているため、早期敗退は許されない。最低でもベスト4以上に入らなければ、ポット1の獲得が難しくなる点を踏まえても、今大会はチームの強化と結果を両方求めていく場になる。

 そうした状況下で今回は年明けすぐに開幕するため、選手のコンディション作りが非常に難しい。大学生を除いた国内組は12月中旬までにシーズンが終わっており、短いオフを取っていた選手がほとんど。一から状態を上げていく必要があるからだ。

 そのため、大会前の直前合宿として24日と27日に行なわれた「IBARAKI Next Generation Cup2025」も含めた茨城での活動は、2部練習で強度の高いトレーニングを実施。コンディションを上げるメニューを消化しながら、大会に向けて準備を進めた。「めっちゃきつかった」(大関友翔/川崎)と選手が苦笑いを浮かべたのも無理ないだろう。
 
 状態を整えつつ、大会のメンバーを選考した大岩剛監督。今年9月のU-20ワールドカップでキャプテンを務めた市原吏音(大宮)、A代表経験者の佐藤龍之介や大関といった面々が順当にメンバー入りをしたなかで、サプライズ招集となったのが、明治大のDF小泉佳絃だ。

 基本的には茨城の活動に参加した選手からアジアカップに挑む23人を選出する方針を固めていたが、右SBの選手層に不安を抱えていた側面がある。

 怪我明けの梅木怜(今治)は27日のU-21ALL IBARAKI戦(6−1)で復帰し、15分ほどプレーした一方で、同じ箇所にタックルを受ける場面もあった。森壮一朗(名古屋)も24日のU-21関東大学選抜戦に出場したが、27日のゲームはフィールドプレーヤーで唯一ピッチに立たなかった。
 
 2人の状態を考えれば、右SBの起用法に幅を持たせたかったのは間違いない。

「率直に言えば、チーム事情で少し厚みを持たせたいポジションではあります。イングランド遠征でのパフォーマンス、その後のインカレでのプレーぶりをしっかり把握して、我々の意向と彼のプレー、評価が今回の招集に繋がった」

 大岩監督もメンバー発表の会見で小泉の招集について言及しており、梅木と森のコンディション面を考慮した上で小泉に白羽の矢が立ったことは想像に容易い。

 青森山田高時代は190cmのサイズを武器にCBを主戦場とし、ボランチでもプレーする機会があった小泉。本格的に右SBに転向したのは今年の秋。そこからチームでポジションを掴み、一気に代表へと駆け上がってきた成長株だ。

 日の丸をつけた実績は今年11月のイングランド遠征のみで、経験値はまだまだ浅い。逆に言えば、伸びしろでもあり、アジアの戦いを経て成長スピードが加速する可能性を秘めている。

 新たな選手の台頭はチームにとってもプラスとなるだけに、サウジアラビアの地で小泉がどのような活躍を見せるのか注目だ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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