現地時間６月２日、なでしこジャパンがサンパウロでブラジル女子代表との国際親善試合に臨んだ。１−３と完敗した５月30日の試合からスタメンを６人に入れ替えたなでしこジャパンが採用したシステムは４−３−３。GKは山下杏也加、４バックは右から高橋はな、古賀塔子、石川璃音、北川ひかる、アンカーが三浦成美、インサイドハーフが松窪真心と籾木結花で、３トップは右から清家貴子、田中美南、藤野あおばだった。

　ブラジルの動きに翻弄された前回の試合と違って、この日のなでしこジャパンは切り替えの早さがまずまずで、ボールへのアプローチもそれなりに鋭い。アウェーの雰囲気に呑まれている様子はなく、十分とは言えないまでも第１戦よりも戦えていた。

　25分までブラジルに攻め込まれる時間帯もあったが、それでも前半、最終的に崩されなかったのは最終ラインの踏ん張りがあったから。特にCB古賀の対応が素晴らしく、地味ながらも非常に効いていた。

　守備が安定すると、籾木、清家を軸にカウンターを仕掛け、決定機を複数回作った。田中のポストプレー、籾木のパスセンス以上に光ったのは清家のフィジカルの強さと突破力だ。イングランドという戦場で揉まれた成果だろう。ブラジルの強烈な個とも渡り合っていた。１ゴールと結果を出した清家はアピール成功と言える。

　そして何より、籾木と松窪のインサイドハーフコンビが良かった。前回の試合で明らかに欠けていた“戦う姿勢”を前面に押し出し、相手にプレシャーをかけつつ、ボールを奪えばチャンスを演出する。清家とともにブラジルに混乱を招いたのはこの２人だった。三浦の奮闘もあり、中盤の安定感が接戦に持ち込めた一因でもあるだろう。
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　しかし、結果は１−２と逆転負け。１失点目はCKからのオウンゴールとやや不運な面もあったが（GK山下はCKのボールを触れなかったか）、２失点目はブラジルのケロリンとジョンソンに圧倒的な個を見せつけられた。最後にモノを言うのは“個”。90分間継続して戦える力がないと勝てない現実を突きつけられた一戦だったと、そんな見方もできるだろう。

　第１戦よりも内容は改善されたものの、ブラジルに連敗した事実から目を逸らしてはいけない。長谷川唯の不在（コンディション不良で招集辞退）は言い訳にならない。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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