リーダーを積極的に会話して輪の中心になるタイプ、あまり多くを語らない背中で語るタイプの２つに大別するとすれば、住永は間違いなく前者だろう。
 
　こんな高校生離れした類稀なリーダーに率いられたチームは、前述した通り２冠に輝いて「日本ユース最強」の名をほしいままにしただけではなく、誰もが負けん気を見せる一方で互いに仲間を思いやる傑出した集団へと成長を遂げた。
 
　今遠征はすでにJクラブに合流した廣末と高橋に加え、２年生と１年生も新チーム始動のため青森に残り、３年生が中心（下級生は２年年の坪歩夢と１年の飯田雅浩という両GKのみ）。そんな中でプレミアリーグや選手権ではベンチやスタンドが多かった新村隆司、中山純希、小堀雄大、永島卓徒、長く怪我に苦しんだ新井健太郎と黒田凱、そして１年で大怪我をしてその後はマネージャーに転向した伊藤翼（ストラカンFF戦で最後の10分間のみ）などに少なくない出番が与えられた。そして、これまでの悔しさを晴らすかのように誰もが精一杯の奮闘を見せ、さらに周りがそれを盛り上げ、支えていた。
 
「これまでAチームであまり試合に出られなかった奴らも、３年になっても腐らず、ここまで一生懸命にやってくれた。今日の試合もずっとBチームだった奴らがチームに活気をもたらしてくれました。人間だから嫌な思いを腹に溜めることだってありますよね。でも、みんなそれを昔みたいに何も考えずに表に出さないようになった。いい仲間、いいチームに出会ったなと思います。これからみんなバラバラになるし（住永は明治大学に進学）、最後の試合で勝てて良かった。本当に楽しかったです」
 
　キャプテンはそう言って満面の笑みを浮かべた。たしかに人材には恵まれたのかもしれない。だが、それをひとつに束ね上げ、ここまでの素晴らしい集団にしたのは、他ならぬ住永である。青森山田には「厳しさと優しさ」を兼ね備えた誰もが認める真のリーダーがいた。
 
取材・文：白鳥大知（サッカーダイジェストWEB）

【青森山田｜英国遠征】レポート＆写真ギャラリーまとめ