指揮官に重圧と迷いを生じさせたフロントの介入。
問題は、見かねたフロントがここで現場に介入したことだ。「現状を打開すべく、様々な観点から監督・コーチと話し合いを重ね、勝利に向けてシステムやトレーニング内容の変更などを見直した」(青野浩志社長)。
そして、「万が一」に備えて、セーフティーネットを発動する。S級ライセンス保持者の柳田強化・育成部長をトップチームコーチに任命。表向きは「全面的に監督を支えるため」ではあったが、これ以上勝てない状況が続けば、監督解任もあり得るとのメッセージであったように思える。
田坂監督は「フロントと話して承認したこと」と、采配になんの影響もなかったと話したが、意思を貫くことで評価を得てきた指揮官に重圧と迷いが生じた。東京V戦、北九州戦では、不可解な選手交代で流れを悪くした。「蹴るだけのサッカーなんて面白くない」とパワープレーを嫌っていた指揮官が、試合終盤からロングボール一辺倒のサッカーで、ピッチで戦う選手は混乱した。結局、この2試合で連敗し、田坂体制は終焉を迎えた。
確かに、今季の田坂監督のチーム作りには問題があった。これまでの4年間はポゼッション重視の攻撃サッカーを志向してきたが、今季は「縦に速いサッカー」を掲げた。世界の潮流に乗りスタイルの方向性を示すが、リスクを冒してでもゴールを目指す姿勢を選手に植え付けることができなかった。それでいて結果が出なくてもその方針を曲げず、頑固過ぎる嫌いもあった。
そんなやり方の監督についていけないと、モチベーションを高められなかった選手がいたのかもしれない。実際、勝利を目指して点を取るために必死になり、倒れるまで戦う選手がどれだけいたか。監督と選手だけでなく、スタッフもフロントも一枚岩になれない“慣れ合い”を改善しないかぎり、大分に明るい未来はないだろう。
当面は柳田強化育成部長が代行監督を務めるが、次期監督について水面下で話が進んでいるようだ。できるだけ長引かせたくない、早く次期監督を決めたい」(青野社長)と、すでに新監督候補は数人に絞られているようだ。求めるのは、潤沢な資金を持っていないクラブの現状を受け入れ、強化部と信頼関係を築き、育成に定評がある監督とのこと。大分が、どんな人物を次期監督に選ぶのか注目したい。
取材・文:柚野真也
そして、「万が一」に備えて、セーフティーネットを発動する。S級ライセンス保持者の柳田強化・育成部長をトップチームコーチに任命。表向きは「全面的に監督を支えるため」ではあったが、これ以上勝てない状況が続けば、監督解任もあり得るとのメッセージであったように思える。
田坂監督は「フロントと話して承認したこと」と、采配になんの影響もなかったと話したが、意思を貫くことで評価を得てきた指揮官に重圧と迷いが生じた。東京V戦、北九州戦では、不可解な選手交代で流れを悪くした。「蹴るだけのサッカーなんて面白くない」とパワープレーを嫌っていた指揮官が、試合終盤からロングボール一辺倒のサッカーで、ピッチで戦う選手は混乱した。結局、この2試合で連敗し、田坂体制は終焉を迎えた。
確かに、今季の田坂監督のチーム作りには問題があった。これまでの4年間はポゼッション重視の攻撃サッカーを志向してきたが、今季は「縦に速いサッカー」を掲げた。世界の潮流に乗りスタイルの方向性を示すが、リスクを冒してでもゴールを目指す姿勢を選手に植え付けることができなかった。それでいて結果が出なくてもその方針を曲げず、頑固過ぎる嫌いもあった。
そんなやり方の監督についていけないと、モチベーションを高められなかった選手がいたのかもしれない。実際、勝利を目指して点を取るために必死になり、倒れるまで戦う選手がどれだけいたか。監督と選手だけでなく、スタッフもフロントも一枚岩になれない“慣れ合い”を改善しないかぎり、大分に明るい未来はないだろう。
当面は柳田強化育成部長が代行監督を務めるが、次期監督について水面下で話が進んでいるようだ。できるだけ長引かせたくない、早く次期監督を決めたい」(青野社長)と、すでに新監督候補は数人に絞られているようだ。求めるのは、潤沢な資金を持っていないクラブの現状を受け入れ、強化部と信頼関係を築き、育成に定評がある監督とのこと。大分が、どんな人物を次期監督に選ぶのか注目したい。
取材・文:柚野真也