シャビに取って代わったラキティッチが生んだダイナミズム。

盟友イニエスタ(右)と優勝の喜びを分かち合うシャビ(左)。ラキティッチにポジションを譲ってベンチ要員に甘んじた希代の司令塔(左)は、5月21日、今シーズン限りでのバルサ退団と、カタールのアル・サードへの移籍を発表した。 (C) Getty Images
豊福:トリデンテ以外で目立ったのは、シャビとラキティッチの入れ替えによる攻撃の変化、でした。
ロホ:長年バルサを見てきたから、ベンチ要員となったシャビの姿を目にするのは悲しいものがある……。
豊福:シャビがピッチサイドでアップしているなんて、なんだかバルサじゃないみたいです。
ロホ:彼ももう35歳だ。誰にでもこういう時が来るから、仕方のないことだが。彼の想い出はたくさんあるよ。
豊福:しばらく前に、ロホと一緒にシャビとイニエスタの対談をやりましたよね。2ショットの写真も撮って。懐かしい。
ロホ:あれはたしか、ライカールト時代だった。あの頃はよかったよ。取材も自由にできてね。
豊福:いまでは単独インタビューなんて、ほぼ不可能ですから。
ロホ:昔はクラブがいろんな選手と話す機会を設けてくれたものだ。クラブが強くなり、巨大化したことで変わっていったんだ。とくに地元メディアには、わざわざ選手インタビューを出す意味がなくなった。国外メディアはまだましじゃない?
豊福:いや、同じですね。クラブ経由でインタビューをとるのは本当に難しくなった。スポンサーやお金が絡んだものくらいです。先日、バルセロナ在住の英紙『インディペンデント』の駐在員と話したんですが、彼も「いまは独占インタビューがシーズンで一本とれるかどうか」と嘆いていました。
ロホ:もう最近は、クラブ側にリクエストすることも減ってしまったよ。
豊福:愚痴ばかりになってしまうので(笑)、話を戻しましょう。テーマは「シャビからラキティッチへ」です。
ロホ:速攻をベースにトリデンテを活かす、という意味では、縦の上下運動ができるラキティッチの方が、明らかに適している。ラキティッチには自陣まで戻って守備をする献身性があるし、彼は気遣いができる選手だから、前方のメッシに気持ちよくプレーさせることができる。
豊福:パスワークやリズム、展開を考えるシャビから、より動的なラキティッチになったことで、ダイナミズムは生まれましたよね。ルイス・エンリケのサッカーにはぴったりの選手です。
ただ、シャビがいなくなり、攻撃がスピードを活かしたカウンター型になったことで、イニエスタの影響力も著しく落ちています。
ロホ:イニエスタを越えて、すごいスピードで前の3人にボールが入るから、仕方がないよね。いまも随所に華麗なプレーは見せるんだが、たしかに以前と比べると減った。
豊福:その他には何かありますか?
ロホ:ブラーボの安定、後半戦でのピケの復活、そして終盤戦で魅せたアウベスの好プレーにも触れておきたいね。
豊福:たしかに、トリデンテに目を奪われがちですが、失点の少なさも強みのひとつだった。これも忘れてはならないポイントですね。
構成・文:豊福晋
協力:ルイス・フェルナンド・ロホ(マルカ紙) Luis Fernando ROJO(MARCA)
【識者プロフィール】
豊福晋
1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
Luis Fernando ROJO
ルイス・フェルナンド・ロホ
スペイン最大の発行部数を誇るスポーツ紙『マルカ』でバルセロナ番を20年以上務め、現在は同紙のバルセロナ支局長。ヨハン・クライフら往年の選手とも親交が深く、ジョゼ・モウリーニョとはロブソンの通訳時代から親密な関係を築く。
ロホ:長年バルサを見てきたから、ベンチ要員となったシャビの姿を目にするのは悲しいものがある……。
豊福:シャビがピッチサイドでアップしているなんて、なんだかバルサじゃないみたいです。
ロホ:彼ももう35歳だ。誰にでもこういう時が来るから、仕方のないことだが。彼の想い出はたくさんあるよ。
豊福:しばらく前に、ロホと一緒にシャビとイニエスタの対談をやりましたよね。2ショットの写真も撮って。懐かしい。
ロホ:あれはたしか、ライカールト時代だった。あの頃はよかったよ。取材も自由にできてね。
豊福:いまでは単独インタビューなんて、ほぼ不可能ですから。
ロホ:昔はクラブがいろんな選手と話す機会を設けてくれたものだ。クラブが強くなり、巨大化したことで変わっていったんだ。とくに地元メディアには、わざわざ選手インタビューを出す意味がなくなった。国外メディアはまだましじゃない?
豊福:いや、同じですね。クラブ経由でインタビューをとるのは本当に難しくなった。スポンサーやお金が絡んだものくらいです。先日、バルセロナ在住の英紙『インディペンデント』の駐在員と話したんですが、彼も「いまは独占インタビューがシーズンで一本とれるかどうか」と嘆いていました。
ロホ:もう最近は、クラブ側にリクエストすることも減ってしまったよ。
豊福:愚痴ばかりになってしまうので(笑)、話を戻しましょう。テーマは「シャビからラキティッチへ」です。
ロホ:速攻をベースにトリデンテを活かす、という意味では、縦の上下運動ができるラキティッチの方が、明らかに適している。ラキティッチには自陣まで戻って守備をする献身性があるし、彼は気遣いができる選手だから、前方のメッシに気持ちよくプレーさせることができる。
豊福:パスワークやリズム、展開を考えるシャビから、より動的なラキティッチになったことで、ダイナミズムは生まれましたよね。ルイス・エンリケのサッカーにはぴったりの選手です。
ただ、シャビがいなくなり、攻撃がスピードを活かしたカウンター型になったことで、イニエスタの影響力も著しく落ちています。
ロホ:イニエスタを越えて、すごいスピードで前の3人にボールが入るから、仕方がないよね。いまも随所に華麗なプレーは見せるんだが、たしかに以前と比べると減った。
豊福:その他には何かありますか?
ロホ:ブラーボの安定、後半戦でのピケの復活、そして終盤戦で魅せたアウベスの好プレーにも触れておきたいね。
豊福:たしかに、トリデンテに目を奪われがちですが、失点の少なさも強みのひとつだった。これも忘れてはならないポイントですね。
構成・文:豊福晋
協力:ルイス・フェルナンド・ロホ(マルカ紙) Luis Fernando ROJO(MARCA)
【識者プロフィール】
豊福晋
1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
Luis Fernando ROJO
ルイス・フェルナンド・ロホ
スペイン最大の発行部数を誇るスポーツ紙『マルカ』でバルセロナ番を20年以上務め、現在は同紙のバルセロナ支局長。ヨハン・クライフら往年の選手とも親交が深く、ジョゼ・モウリーニョとはロブソンの通訳時代から親密な関係を築く。