「あれは、ただの1点じゃない」新潟を救った渡邊凌磨の初ゴールに込められた想い

カテゴリ:Jリーグ

大中祐二

2019年04月11日

今シーズンが始まる前に掲げた目標は、10得点・10アシスト

メンバー外の居残り練習で能仲コーチ(右)からかけられた言葉は、大きな支えになった。(C)Niigata Football Press

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 仲間の声も、大きな支えとなった。毎回、トレーニングゲーム前に声を掛けてくれたのが、キャプテンのMF加藤大だ。どちらかといえば、声よりプレーで引っ張るタイプの加藤は、「他の選手のプレーは関係ないから。凌磨自身のプレーをしっかりやれ」と言い続けてくれた。「それだけで、すごく救われましたね。モチベーションも上がるし。いろいろな人の助けがあって、試合に出られるようになった。結果で恩返ししたいです」。
 
 プライベートでも仲の良いDF大武峻は、昨季、自分自身が同じように途中まで試合に絡めなかった経験を踏まえ、声を掛け続けた。
 
「僕が伝えたのは、自分がやっていることを信じること。チームでやるべきことをやらないといけないけれど、自分の良さを失ってはいけない。そして続けていれば、どんな選手でもJ2リーグの42試合すべてにフル出場するのは難しいわけだから、どこかで必ずチャンスが来る。その時にベストのパフォーマンスを出せるかどうか。出せずにチャンスをつかめなければ、それは自分の責任になる」
 

 渡邊凌にとって、大武の言葉は、進むべき道を力強く示す頼もしい指針となっただろう。そして大武が語る渡邊凌のストロングポイントに、プレーヤーとしての特徴が集約される。「凌磨の良さはボールを失わないこと。それから、ゴール前のシュートポイントに入っていくのが意外にうまい。クロスに対して2列目から飛び出していけるので、チームの攻撃のオプションが増えます。ミドルシュートも持っているので、ペナルティエリア外からでもどんどん打っていい。両足を使えるわけだから」。
 
 町田戦のゴールは、ただの1点ではなかった。ようやく巡ってきたチャンスで決めたゴールには、それだけの裏付けがあった。メンタル面で波があるというひとつの課題の克服に、一歩近づいたと実感できるゴールになった。
 
 今シーズンが始まる前に掲げた目標は、10得点・10アシスト。それだけの数字を残すということは、シーズンを通してプレーし続けることであり、中盤の選手がそれだけの数字を残せば、チームのJ1昇格はグッと現実味を増す。目標の達成まで、あと9得点・10アシスト。やがて、それすらもひとつの通過点になるだろう。
 
取材・文●大中祐二(フリーライター)
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