ミランでの復調は本物か――本田圭佑を「フィジカル」的側面から検証

カテゴリ:ワールド

澤山大輔

2014年10月03日

左右の重心移動が大きく、下半身が重たい印象。

『反り腰』で重心が後ろにかかっているように見えるのも気になるところ。 (C) Alberto LINGRIA

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 本田選手の歩き方を見ていると、左右の重心移動がすごく大きいですね。そうなると、内臓がそれだけ余計に動き、余計なエネルギーを使ってしまい、疲れやすくなってしまいます。見た目にも、他の選手に比べ、下半身が重たい印象があります。
 
 胸板の他、ふくらはぎも非常に厚くなっていますが、例えばブラジルのネイマール、あるいはロナウジーニョにせよ、優れた選手のふくらはぎはシャープです。バスケットボールの元スーパースター、マイケル・ジョーダンなどもそうですね。
 
 重心の位置も気になります。本田選手の場合は、立っている姿勢を横から見ると、若干ですが『反り腰』になっている印象を受けます。そのまま後ろに重心が乗ると、うまく立てないので、前側に重心がかかりがちになります。つまり拇指球寄りに体重がかかっているケースが多いですね。その体勢からグッと踏み出すためには、一旦重心を後ろに移動させなければなりません。そのため、瞬発的な動きが遅れてしまうのです。
 
 重心は足だけではなく、体幹から連動しているものです。体幹や股関節の柔軟性がないと、うまく足まで伝わりません。まず、背骨の動きを一つひとつ出してあげる必要があるでしょう。ドリブルで抜いたり、初速が速い選手というのはカカト寄りに重心が乗っていて、そこから拇指球のほうにスッと体重移動することでスムーズに動き出せています。
 
 ふくらはぎの筋肉は常時使うのではなく、一瞬・急激に使用することが望ましいでしょう。そうすることで初速が速くなるだけではなく、相手との当たりにも強くなるのではないでしょうか。
 
 もっとも、身体機能の低下をプレースタイルの変化で補っているのは凄いことだと思います。身体的な部分に関してはどうしても気になるところが多いため、どちらかというとマイナスの言及が多くなってしまいましたが、私は個人的には本田選手の大ファンです。現在の好調は非常に喜ばしいことであり、このままのペースを維持してほしいと思っています。
 
 一方で、このままの動きの質だと再び同じ箇所を痛めてしまうことが懸念されます。もちろん本田選手もそれは十分に認識し、トレーナーの方と試行錯誤していると思います。今後も、本田選手が活躍しつづけることを祈っております。
 
分析:中根正登(Oriental Physio Academy副代表)
取材・文:澤山大輔(カラダジャーナリスト)
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