世界一に挑むリトルなでしこ。日本女子サッカーはなぜ強い?

カテゴリ:日本代表

西森彰

2014年04月04日

多くの選手に国際経験をと、予選メンバーから3分の1を入れ替える。

決勝の相手スペインとはグループリーグ初戦で対戦し、2-0の勝利。プレーの質でも上回っていた。いつもどおりのプレーで、日本女子サッカーに2つ目の世界一のタイトルをもたらすか!? (C) Getty Images

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 07年から12年までの6年間に女子W杯と五輪が2回ずつ、FIFA主催の年代別世界大会は合計6回開催されている(U-17、U-20のW杯が3回ずつ)。日本はその10大会すべてに参加しているが、これは他に3か国(北朝鮮、ブラジル、ニュージーランド)だけだ。

 成績面でも、ベスト4以上が7回のアメリカ(U-17で1回、U-20で2回、フル代表で4回)とドイツ(U-17で2回、U-20で3回、フル代表で2回)には及ばないものの、日本も5回(U-17、U-20で各1回、フル代表で3回)を誇る。堂々たる実績だ。

 今夏に行なわれるU-20W杯で久しぶりに予選落ちの憂き目にあったが、そこまで含めても12回中11回で世界の舞台に上がり、6回ベスト4進出。世界ランキング3位にふさわしい成績と言えよう。

 コスタリカで開催中の今回のU-17W杯を戦うリトルなでしこを率いる高倉麻子監督は、前回大会まで指揮を執った吉田弘監督の下、コーチとして育成年代の指導に携わってきた。そして、大部由美コーチとともに、数年に渡ってエリートプログラムやナショナルトレセンに足を運び続けている。

 多くの選手に国際経験を与えることも考慮し、昨秋のアジア地区予選からメンバーの3分の1を入れ替え、今大会のメンバー21人の所属は12チームに分かれる。その内訳も、キャプテンの杉田妃和(藤枝順心)ら全国の高校チームに始まり、Jクラブ、JFAアカデミー福島、そしていわゆる町クラブまでさまざまだ。

 環境の差を越えて、洗練された技術を持つ選手が育ってきたこと。この世代の選手の成長過程をトレセンなどで見続けた指揮官が、それぞれの個性、プレーの特徴、さらに性格に至るまで、熟知していること。バラエティーに富んだ混成軍の快進撃は、そうした点も裏づける。

 高倉監督は、史上最強と謳われながら、ベスト8で敗れ去った前回大会の反省を糧に、世界大会を勝ち抜くうえで必要最低限の守備組織を整備した。だが、前述のように、多くの選手に国際経験を与えるため、アジア地区予選から半年しかない準備期間でメンバーの3分の1を入れ替えるなど、勝負だけにこだわっているわけでもない。

 そうした普段着で臨んだチームが、横綱相撲の連続で、この決勝まで勝ち上がってきた。リトルなでしこが、最後まで危なげなく世界の頂点に立つなら、それは日本の女子サッカー界全体の勝利として捉えるべきであろう。

文:西森彰

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