Kリーグにおける日本人選手の評価は?蔚山に移籍した阿部拓馬は成功できるのか

カテゴリ:Jリーグ

慎武宏

2017年07月12日

「TOP RATED(最高の活躍)」は高萩洋次郎だけだったが…。

韓国で最高の評価を受けた日本人は髙萩だけだった。阿部はこの男を越えられるか。(C)Getty Images

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「我々のチームに日本語をしゃべれる通訳はおらず、唯一、日本語が少しできるのがキム・ビョンス監督なのですが、和田は監督に頼らず自分からチームに溶け込もうと頑張っています。ほかの韓国人選手たちと同じように合宿所で生活し、練習にも熱心。キム・ヒョンス監督もそんな和田の姿勢を買っていて、今やチームに欠かせぬひとりになっています」
 
 韓国ではプロであっても朝から晩まで集団生活が基本となる。年齢で決まる秩序があり、監督と選手の関係もともすれば主従関係になりがちだ。かつて釜山アイパークでプレーした元大宮アルディージャの渡邉大剛も、韓国で文化の違いに直面したことを告白しているが、和田が1年目で早くもチームに馴染んでいる事実は特筆すべきことかもしれない。
 
 おそらく安田も、釜山アイパークに溶け込んでいるのだろう。韓国人記者によると、「既存の日本人選手にはない猪突猛進型のプレースタイルも好まれている」という。安田が所属する釜山は、今でこそチャレンジで燻っているが、かつてはKリーグ3連覇も成し遂げた強豪。クラシック昇格を目指すチームにおいて、安田も欠かせぬ存在になりつつあるのかもしれない。
 
 そんななかで今度は阿部拓馬が蔚山現代の一員となったわけだが、その活躍次第ではKリーグにおける日本人選手の評価が一層高まり需要も増えるかもしれない。
 
 というのも、昨今、Kリーグのアジア枠は主にオーストラリア人選手たち、それもDFたちが多くを占めてきたが、最近はやや頭打ちといった感も否めない。
 
 その一方で、高萩洋次郎らが作り上げた良好なイメージを、安田や和田らが引き継いでいる。これに阿部も加わっていけばKリーグにおける日本株も上昇するだろう。韓国のサッカー専門誌『FourFourTwo KOREA』のホン・ジェミン編集長も言っていた。
 
「日本人選手は基本技術がしっかりした土台があり、人間的にも誠実。食事など生活文化も近いので、ほかのアジア選手よりもチームへの溶け込みもスムーズだ。来季に活用するアジア枠の候補として考えているクラブは多いと聞いている」
 
『FourFourTwo KOREA』では昨年夏、Kリーグでプレーするすべての外国人選手を4段階で評価査定したことがあった。その中で最高級の「TOP RATED(最高の活躍)」という評価を受けた日本人選手は高萩洋次郎だけだったが、今季はもっとたくさんの日本人Kリーガーたちが高い評価を得られるようになることを、大いに期待したい。

文:慎 武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。
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