【コラム】「お騒がせ審判」は世界的地位を捨ててなぜ中東へ行くのか?

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年05月02日

無罪放免となった差別発言問題。

2012年には当時チェルシーに所属していたマタとミケルに対して、差別的発言を行なったとして渦中の人となったクラッテンバーグ。 (C) Getty Images

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 最終的に無罪となったが、5年前のマンチェスター・U対チェルシー戦(2012-2013シーズンのプレミアリーグ9節)で、当時チェルシーに所属していたジョン・オビ・ミケルとファン・マヌエル・マタに対する差別発言疑惑にも晒された。
 
 この時のプロ審判協会(PGMOL)のサポート不足により、当人の心が英国サッカー界から離れ始めた一因とされた。それを考えても、並の精神力では公正を前提とする審判としての現役を続けるは難しかっただろう。
 
 プレミアリーグでの最終戦、クラッテンバーグは自身の派手なイメージとは対照的に、地味な中位対決を静かに裁き終えた。
 
 一部には、WBAにPKを与え損ねたとの報道もあったが、相手CBロベルト・フートと接触したFWサロモン・ロンドンのプレーは騒ぐほどの場面ではなかった。事実、WBAを率いるトニー・ピュリス監督は、惜敗後(●0-1)に、その判定については論じなかった。
 
 単刀直入な物言いで知られる辛口の指揮官は、「キャリアの絶頂期にある審判だ。プレミアが最高のリーグであるためには最高レベルの審判も欠かせない。彼の移籍は残念でならない」と言って、「天性の審判」と称えられたクラッテンバーグの国外移籍を嘆いた――。

文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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