今季のパレスには欠かせない存在となっている鎌田とウォートンの中盤コンビ。どちらも抜群のパスセンスを兼ね備える、攻守に優れたバランサータイプとして突出した活躍を見せている。

　21歳と若いウォートンはよりエネルギッシュでダイナミックなプレーが持ち味。一方の鎌田は狭いスペースを見つけてはそれを最大限に有効活用し、攻撃のリンクアップにしている。ディフェンス・オフェンスともに非常に互換性が高く、現時点ではリーグ最高のペアリングの一つであると言っても過言ではない。

　思い出されるのが昨季のFA杯準決勝。３－０で勝利した試合後の取材で、ウォートンが長年の欧州の舞台で活躍してきた鎌田について、尊敬の念を次のようにコメントしている。

「彼はトップレベルの選手だ。これまでにも見てきたから分かっていることだけどね。チャンピオンズリーグでプレーし、ヨーロッパリーグでも活躍してきた。テクニカルで、足もとが柔らかくしっかりポゼッションをキープできる。運動量も豊富で、何日だって走り続けられるくらいのスタミナの持ち主だ」

　フルアム戦では、決勝点が決まる同時に、得点者のゲイがクライブン・コテージのアウェーエンドに集まった熱狂的なパレスサポーターの前へ走っていった。鎌田はキャプテンのすぐ後ろを追走し、コーナーフラッグのそばで止まった６番の背中に飛び乗って喜んでいた。
 

　デビューシーズンの昨季は、多少遠慮がちで“蚊帳の外にいる”印象を覚えたが、ここまで中核を担っている今季のチームではしっかりと溶け込んでいるように映る。

　多くのサポーターからの好評価を受けていることからも、これらが垣間見えてくる。クラブの公式ソーシャルメディアのコメント欄を覗いてみると、昨季は「仏頂面」「覇気が見られない」「特徴がない」など、辛辣な内容が並んでいた。しかし今季は一転、この日本代表への評価がグッと上昇していることが確認できる。

「昨季は苦しんだが、今季はその価値を証明してくれている。今後が楽しみだ」
「欧州での経験値も高く、プレミアリーグでもカンファレンスリーグでもゴールが必要な際には攻撃的なポジションで重要なオプションになる」
「素晴らしいミッドフィールダーだ。ウォートンよりも良いんじゃないか。契約延長してくれ！」

　その一方で、いまだに納得していないサポーターの声も散見され、「得点力が足りない」「フィジカルが弱い」といった指摘も見られた。

　とはいえ、ここまで13試合連続で先発出場しゴールはまだないものの、それ以外の面での貢献度はチームトップクラス。その証拠に、ファンが選ぶクラブの月間最優秀選手に９、10月と２か月連続で選出されている。

　フィジカル面でも昨季よりもプレミアリーグに格段にフィットしているのは明らかだ。例えばフルアム戦では、前半途中に敵のDFに激しく寄せられてタックルを食らった場面では、まるで動じなかったシーンが印象に残った。

　ワールドカップイヤーを直前に控えた今季、脂の乗った29歳はさらなる成長を続けている。

取材・文●松澤浩三

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