中村憲剛が見据える夢の「続き」と、クラブが更新したふたつの過去最高

カテゴリ:Jリーグ

いしかわ ごう

2016年06月26日

08年、09年と同じく「勝って鹿島の結果待ち」で朗報は届かなかったが…。

ステージ優勝は逃したが、第1ステージで積み上げた勝点は38。チームとしての手応えは、シーズン後半に活きてくるはずだ。写真:石倉愛子

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 治療の甲斐もあり、中村の状態は最終節に出場できるまで回復。ただし風間監督が起用したポジションはトップ下ではなく、左サイドハーフだった。中央では、ボールをキープする際に360度方向から相手のアプローチがあり、当然、背中に相手からの強いコンタクトを受ける危険性もある。そのリスクを抑える意味も含んだ配置だった。
 
 起用は当たり、22分に中村は先制点をお膳立て。相手のパスミスからボールを持つと、狙い澄ましたパスを走っていた大塚翔平の足下に配球した。
 
「翔平の足が遅いので(笑)、すごく丁寧に出しましたね。上手な選手なので、足下に出せばなんとかしてくれる。自分の最後の仕事としては、スペースではなく、彼の足下にしっかりと出すこと。難しくはなかったし、左サイドだからああいうプレーができたと思っている。トップ下だと前は嘉人しかいないので」
 
 そして後半には自ら1ゴール。細かいパス交換からドリブルで切り込み、左足で巻いて決めた。
 
「前を向いた時に、味方が走って引き付けてくれて、それでスペースができた。ペナ(ルティエリア内)に入った時にはコースが見えました。加藤選手はすごく良いGKで、マリノス戦もすごく止めていたので、絶対に届かない場所に打った。あれは自信がありました」

 思えば、年間2位に終わった2008年と2009年の最終節も中村は自らゴールを決めている。そしてこの時同様、「勝って鹿島の結果待ち」で朗報は届かなかったが、過去とは違うことがある。今回は、「続き」がまだあるということだ。

「これでシーズンが終わったわけじゃないし、また仕切り直しになる。ここまで積み上げた勝点38は消えないし、自分たちの自信も消えない。それはまたつながる」
 
 ステージ優勝は逃したが、この前半で積み上げた勝点38。クラブにおいて過去最高の数値である。前半で掴んだチームとしての手応えもまた、シーズン後半にも必ず活きてくる。
 
 なお、この日の等々力競技場の入場者数は26612人。今年の浦和戦で記録した最多入場者数を、さらに更新した。史上最多のフロンターレサポーターが見守った試合でもあった。Jリーグの歴史は動かなかったが、クラブは前進し続けている。
 
取材・文:いしかわごう(フリーライター)
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