テクニックに定評のある名古屋U18に6-1で大勝。
走る大分U-18が、名古屋U18の技巧のすべてを封印した――。
プレミアリーグWEST2節。ホーム開幕戦を迎えた大分U-18は、名古屋U18を6-1で退けた。前半は名古屋U18のパスワークに揺さぶられる場面もあったが、それもわずかな時間に過ぎなかった。
攻撃陣が後方からのプレスバックで敵の斜め後ろから何度もボールを奪うなど、圧倒的なプレッシングで試合を支配。35分、宮地裕二郎のクロスにFW吉平翼がヘディングで合わせて先制すると、後半は次々にゴールを奪った。
今季の大分U-18は、山崎哲也監督が「攻守の核。真面目と破天荒で、性格は正反対」と話す双子の吉平兄弟が攻守の鍵を握る。前線に弟の翼、後方に兄の駿がポジションを取る。兄の駿は、しっかり者。的確なコーチングで周囲を動かし、危険の芽を摘み取る。左右両足での正確なフィードで攻撃の起点を作れるのも魅力だ。
弟の翼は少々やんちゃだが、対人の強さで頼もしさを見せるストライカーで戦闘集団を引っ張る存在だ。試合後にツーショットを撮らせてほしいと依頼すると、弟の翼はすかさず、「それは困りますよ、オレたちは仲が悪いので」と言いながら肩を組んで笑みをたたえた。
小学校時代はともにDF。空中戦に強い翼がセンター、賢い駆け引きをする駿がサイドだった。チームの特徴でもある前線からの守備を、翼が厭わずに頑張れるのはDFとしての経験が活きている。今はポジションが異なるふたりだが、常に誰よりも身近な戦友であり、ライバルだ。
「ずっと同じチーム。中学2年の頃は向こうがメンバーに入って、僕が入れなかった時もあった。なにくそという気持ちだった。常に一番のライバルは、アイツ」
そう話す弟の翼が、現在はトップチームに2種登録されている。
逆にいまは兄の駿が、弟を追いかけている状況だ。
「今は、アイツを少し上と認めている。悔しさはあるけど、誇らしさもある。でも、アイツを上回ればプロに近付けるという考え方もある」
幼い頃から競い合ってきた。仲が良いのか、悪いのか。中学生時代は、些細なことから殴り合いのケンカになってしまったこともあるというが、切磋琢磨を続ける相手がいたからこそここまで成長できたという見解は一致しており、認め合う存在でもある。
「ライバル意識が強いからか、互いにミスをすると『しっかりしろよ』と強く言い合ってしまう。それでチームの雰囲気を悪くしてしまうこともあった。それは改善したいので、僕は不満を態度に出す余裕がなくなるくらい献身的に走ろうと思う」
翼はそう言って笑った。
切磋琢磨が続く限り、この先も成長が期待できる。大分U-18は昨季から引き続き、圧倒的な走力とプレスを武器としている。坂井大将ら3人がトップチームに昇格した当たり年と言われる昨季との比較では、個の力は劣るという見方をされているが、週に2回は行なうフィジカルトレーニングで培った走力がそれを補う。
翼が走って相手の選択肢を削り落し、駿が後ろで味方と陣形を整えながらきっちりと守る。双子の関係からも分かる守備面の特徴を失わなければ、チームとしても着実なベースアップを図れるだろう。今節の大勝は、彼らの成長ストーリーの序章に過ぎないのかもしれない。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
■試合の結果
大分U-18 6-1 名古屋U18
得点者/大=吉平翼×2、岩田×2、浅原、江頭 名=北野
■U-18プレミアリーグ 2節の結果
WEST
広島ユース 3-0 京都橘
大分U-18 6-1 名古屋U18
東福岡 1-0 G大阪ユース
C大阪U-18 3-1 京都U-18
神戸U-18 0-0 履正社
EAST
流経大柏 0-4 FC東京U-18
鹿島ユース 4-0 札幌U-18
大宮ユース 1-1 市立船橋
清水ユース 0-0 柏U-18
青森山田 2-0 JFAアカデミー福島
プレミアリーグWEST2節。ホーム開幕戦を迎えた大分U-18は、名古屋U18を6-1で退けた。前半は名古屋U18のパスワークに揺さぶられる場面もあったが、それもわずかな時間に過ぎなかった。
攻撃陣が後方からのプレスバックで敵の斜め後ろから何度もボールを奪うなど、圧倒的なプレッシングで試合を支配。35分、宮地裕二郎のクロスにFW吉平翼がヘディングで合わせて先制すると、後半は次々にゴールを奪った。
今季の大分U-18は、山崎哲也監督が「攻守の核。真面目と破天荒で、性格は正反対」と話す双子の吉平兄弟が攻守の鍵を握る。前線に弟の翼、後方に兄の駿がポジションを取る。兄の駿は、しっかり者。的確なコーチングで周囲を動かし、危険の芽を摘み取る。左右両足での正確なフィードで攻撃の起点を作れるのも魅力だ。
弟の翼は少々やんちゃだが、対人の強さで頼もしさを見せるストライカーで戦闘集団を引っ張る存在だ。試合後にツーショットを撮らせてほしいと依頼すると、弟の翼はすかさず、「それは困りますよ、オレたちは仲が悪いので」と言いながら肩を組んで笑みをたたえた。
小学校時代はともにDF。空中戦に強い翼がセンター、賢い駆け引きをする駿がサイドだった。チームの特徴でもある前線からの守備を、翼が厭わずに頑張れるのはDFとしての経験が活きている。今はポジションが異なるふたりだが、常に誰よりも身近な戦友であり、ライバルだ。
「ずっと同じチーム。中学2年の頃は向こうがメンバーに入って、僕が入れなかった時もあった。なにくそという気持ちだった。常に一番のライバルは、アイツ」
そう話す弟の翼が、現在はトップチームに2種登録されている。
逆にいまは兄の駿が、弟を追いかけている状況だ。
「今は、アイツを少し上と認めている。悔しさはあるけど、誇らしさもある。でも、アイツを上回ればプロに近付けるという考え方もある」
幼い頃から競い合ってきた。仲が良いのか、悪いのか。中学生時代は、些細なことから殴り合いのケンカになってしまったこともあるというが、切磋琢磨を続ける相手がいたからこそここまで成長できたという見解は一致しており、認め合う存在でもある。
「ライバル意識が強いからか、互いにミスをすると『しっかりしろよ』と強く言い合ってしまう。それでチームの雰囲気を悪くしてしまうこともあった。それは改善したいので、僕は不満を態度に出す余裕がなくなるくらい献身的に走ろうと思う」
翼はそう言って笑った。
切磋琢磨が続く限り、この先も成長が期待できる。大分U-18は昨季から引き続き、圧倒的な走力とプレスを武器としている。坂井大将ら3人がトップチームに昇格した当たり年と言われる昨季との比較では、個の力は劣るという見方をされているが、週に2回は行なうフィジカルトレーニングで培った走力がそれを補う。
翼が走って相手の選択肢を削り落し、駿が後ろで味方と陣形を整えながらきっちりと守る。双子の関係からも分かる守備面の特徴を失わなければ、チームとしても着実なベースアップを図れるだろう。今節の大勝は、彼らの成長ストーリーの序章に過ぎないのかもしれない。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
■試合の結果
大分U-18 6-1 名古屋U18
得点者/大=吉平翼×2、岩田×2、浅原、江頭 名=北野
■U-18プレミアリーグ 2節の結果
WEST
広島ユース 3-0 京都橘
大分U-18 6-1 名古屋U18
東福岡 1-0 G大阪ユース
C大阪U-18 3-1 京都U-18
神戸U-18 0-0 履正社
EAST
流経大柏 0-4 FC東京U-18
鹿島ユース 4-0 札幌U-18
大宮ユース 1-1 市立船橋
清水ユース 0-0 柏U-18
青森山田 2-0 JFAアカデミー福島