シアラーは「好きじゃなかった」と回顧
敵味方関係なく誰からも恐れられる存在。元マンチェスター・ユナイテッドのキャプテン、ロイ・キーンはまさにそういう男だった。
個性派揃いだった1990年代から2000年代初頭のプレミアリーグにおいて、キーンの存在は際立っていた。名将アレックス・ファーガソンが指揮した当時のマンチェスター・Uで、まさに“鬼教官”が如く君臨。絶対的な権力を握っていた指揮官でさえも、「ロイは時に支配して私のチームを左右させる」と舌を巻いたほどのキャラクターを持っていた。
そんな“闘将”が周囲を慄かせたというエピソードは枚挙に暇がないが、本人が「もっとやっておけば良かった」と後悔を口にするのは、2001年9月に行なわれたニューカッスル戦で起きた、元イングランド代表FWアラン・シアラーとの乱闘だ。
マンチェスター・Uが82分にシアラーに決定的な勝ち越し弾を決められ、「苛立っていた」というキーンは、試合終了間際にスローインを得た際、その相手エースにボールを故意にぶつけたのだ。
溜まっていたフラストレーションをぶつけたキーンはもう止まらない。声を上げてファウルを主張したシアラーに、鋭い眼光を浴びせながら詰め寄ると、咄嗟に鋭いパンチを繰り出したのである。
しかし、冷静だったシアラーは、不気味な笑顔を浮かべてパンチを華麗にスルー。そして、なおも食って掛からんとするキーンは二枚目のイエローカードを提示され、退場を命じられた。
【動画】伝説の退場シーン! キーンがシアラーに殴り掛かった決定的瞬間はこちら
個性派揃いだった1990年代から2000年代初頭のプレミアリーグにおいて、キーンの存在は際立っていた。名将アレックス・ファーガソンが指揮した当時のマンチェスター・Uで、まさに“鬼教官”が如く君臨。絶対的な権力を握っていた指揮官でさえも、「ロイは時に支配して私のチームを左右させる」と舌を巻いたほどのキャラクターを持っていた。
そんな“闘将”が周囲を慄かせたというエピソードは枚挙に暇がないが、本人が「もっとやっておけば良かった」と後悔を口にするのは、2001年9月に行なわれたニューカッスル戦で起きた、元イングランド代表FWアラン・シアラーとの乱闘だ。
マンチェスター・Uが82分にシアラーに決定的な勝ち越し弾を決められ、「苛立っていた」というキーンは、試合終了間際にスローインを得た際、その相手エースにボールを故意にぶつけたのだ。
溜まっていたフラストレーションをぶつけたキーンはもう止まらない。声を上げてファウルを主張したシアラーに、鋭い眼光を浴びせながら詰め寄ると、咄嗟に鋭いパンチを繰り出したのである。
しかし、冷静だったシアラーは、不気味な笑顔を浮かべてパンチを華麗にスルー。そして、なおも食って掛からんとするキーンは二枚目のイエローカードを提示され、退場を命じられた。
【動画】伝説の退場シーン! キーンがシアラーに殴り掛かった決定的瞬間はこちら
後に“犬猿の仲”と言われるようにまでなった両者の関係性を象徴するシーンだが、この時に経緯について英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』で“加害者”となったキーンは、「俺は正気を失っていたんだ」と振り返っている。
「俺が退場にされるなら、やつも退場にしてやろうと思ったんだ。だから、どうせやるならもっとちゃんと殴っておけばよかったなと当時は心底考えていたよ。退場に対しては不満しかない。だって、ただ押しただけだからな。まぁ色々と馬鹿げていたよ」
当時の記憶を思い返して興奮気味に語ったキーン。かたやシアラーはどこまでクレバーだ。英公共放送『BBC』のポッドキャスト番組で「彼がスローインを投げようとしたのを遅らせようとしただけだ」と回想した。
「私は彼のことがあまり好きじゃなかった。彼との間には色々なゴタゴタがあったからね。彼が退場になった時に微笑みながら『君がこんな小さな罠に引っかかるなんてね』と言ったのを覚えているよ。そしたら、彼は控室に向かうトンネルの奥で待っていたんだよ。その時は、お互いに歩み寄ろうと考えていたと思うけどできなかった。私を押さえつけようとした彼は、ユナイテッドのロッカールームに引き込まれていったからね」
当時のマンチェスター・Uでカルト的な人気を誇った闘将の象徴的なエピソードだ。しかし、彼は自らの行き過ぎた振る舞いに思うこともあったようだ。取材の最期に“恩師”ファーガソンとの会話を明かした。
「俺は自分自身にウンザリしていた。とくに試合後に悩むことが多かった。あのニューカッスル戦の翌日にファーガソンと会った時、彼が開口一番で俺に『ロイ、もう十分だ』と言ったんだ。俺にはそれが何を意味しているかがすぐに理解できた。終わりが近いっていうことだ」
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
「俺が退場にされるなら、やつも退場にしてやろうと思ったんだ。だから、どうせやるならもっとちゃんと殴っておけばよかったなと当時は心底考えていたよ。退場に対しては不満しかない。だって、ただ押しただけだからな。まぁ色々と馬鹿げていたよ」
当時の記憶を思い返して興奮気味に語ったキーン。かたやシアラーはどこまでクレバーだ。英公共放送『BBC』のポッドキャスト番組で「彼がスローインを投げようとしたのを遅らせようとしただけだ」と回想した。
「私は彼のことがあまり好きじゃなかった。彼との間には色々なゴタゴタがあったからね。彼が退場になった時に微笑みながら『君がこんな小さな罠に引っかかるなんてね』と言ったのを覚えているよ。そしたら、彼は控室に向かうトンネルの奥で待っていたんだよ。その時は、お互いに歩み寄ろうと考えていたと思うけどできなかった。私を押さえつけようとした彼は、ユナイテッドのロッカールームに引き込まれていったからね」
当時のマンチェスター・Uでカルト的な人気を誇った闘将の象徴的なエピソードだ。しかし、彼は自らの行き過ぎた振る舞いに思うこともあったようだ。取材の最期に“恩師”ファーガソンとの会話を明かした。
「俺は自分自身にウンザリしていた。とくに試合後に悩むことが多かった。あのニューカッスル戦の翌日にファーガソンと会った時、彼が開口一番で俺に『ロイ、もう十分だ』と言ったんだ。俺にはそれが何を意味しているかがすぐに理解できた。終わりが近いっていうことだ」
構成●サッカーダイジェストWeb編集部