16戦負けなしも足踏み…クラブ記録を更新中の横浜FCが直面している「試練」とは?

カテゴリ:Jリーグ

二本木昭

2019年09月30日

「ひとり抜いてもまだ2枚いて…」

今季6得点5アシストと、ルーキーながら小さくない存在感を発揮しているのが中山だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 J2リーグ第30節から34節までの5戦は1勝4分と勝点2を取りこぼす試合が目立つ横浜FC。引き分け4つのうち3試合でスコアレスドローとなっている。

 16試合負けなしのクラブ記録を更新中で、その最初の11戦で31得点(9失点)と、圧倒的な攻撃力を武器に突き抜けるかに思われた。だが、ここにきて自動昇格(2位以内)争いで足踏みが続いている。

 現在自動昇格となる2位大宮とは勝点差2の3位だが、、勝点58で3チームが並んでいる。やはりJ2は甘くない。いま、横浜FCになにが起きているのだろう。

 象徴的なのが、スコアレスドローに終わった30節・山形戦、32節・大宮戦、そして33節・町田戦だ。山形は自陣深く引いて守ってきた。大宮はそれほど引いた感はなかったが、2列目より後方から飛び出してくるのは右ウイングバックのイッペイ・シノズカのみで、ファンマと彼と交代で出場したシモヴィッチを中心に攻撃に人数をかけず、「点が取れたらラッキー」ぐらいに感じだった。

 立ち上がりこそ前から来た町田は、松尾佑介にドリブルで背後のスペースを突破され決定機をつくられると徐々に下がり始め、最終的には自陣ゴール前に張り付くこととなった。

 大宮戦後、中山克広に「スピードで1枚抜いても、まだ2枚くらい残っている感じ?」と問うと、「そうですね。ひとり抜いてもまだ2枚いて、決定的な形にするのは難しいです」と返ってきた。斉藤光毅は町田戦後、「こいつがウワサのヤツかって感じで」ドリブルを仕掛けてもふたり以上のDFが深く腰を落として対応してきたという。

 1トップのイバの後方に(右から)中山、レアンドロ・ドミンゲス、松尾(斉藤)とJ2屈指のアタッカー陣を誇る横浜FC。その全方位的な攻撃を抑えつつ、さらにゴールを狙うのは困難なタスクだ。しかしひとつ手があった。それは攻撃を放棄して自陣深く引いて守り、スコアレスドローでよしと割り切ること。いま、対戦相手には「好調の横浜FCにはスコアレスドローで勝点1を取ればOK」というムードが漂っている。

 もちろん、その戦術をとやかく言うことはできない。上位クラブであれば2位争いのライバルを走らせないための適切な処置であり、下位クラブであればJ2残留に向け貴重な勝点1を確保することは重要だ。

「対戦相手がことごとく引いて守ってくる」というのは、おそらくクラブ史上初の試練だろう。相手が守備を重視してくる分、点を取られる気配は少なく容易に負けることはないだろうが、その中で勝点3をどれだけ取り続けられるか。

 その壁を乗り越えれられれば、最大の目標であるJ1昇格が見えてくるはずだ。
 
取材・文●二本木昭(フリーライター)

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