徳島の降格が決まったJ１の残留争い。29節終了時で、降格圏に位置するのは17位のC大阪と16位の甲府だ。しかし、依然としてC大阪から13位の仙台まで、勝点４差のなかに５チーム（仙台、大宮、清水、甲府、C大阪）がひしめく混戦状態。各チームの終盤戦の見どころを、週刊サッカーダイジェストの担当記者が展望する。
 
ベガルタ仙台
成績（29節終了時）：13位／勝点33／８勝９分け12敗／28得点・41失点
 
残り５節の対戦
30節　10／26（日）　対柏（H）　13:00   前回対戦△０-０
31節　11／２（日）　対G大阪（A）　13:00　前回対戦△０-０
32節　11／22（土）　対C大阪（H）　17:00　前回対戦○１-０
33節　11／29（土）　対徳島（H）　17:00　前回対戦○１-０
34節　12／６（土）　対広島（A）　15:30 　前回対戦○１-０

ポイント１）チームの現状は？
　21節の神戸戦から５連敗と失速したが、26節の川崎戦（１-１）で久々に勝点を獲得すると、その後の３試合は２勝１分けと負けなしが続いている。徹底的に勝負に徹した手堅いサッカーが奏功し、チーム全体で高い守備意識を保つことができているのは大きい。
 
　29節の名古屋戦では、相手に20本のシュート（仙台は６本）を打たれるなど劣勢を強いられたが、「覚悟しよう、我慢しよう」と渡邉晋監督から鼓舞されたチームは最後までゴールを割らせず、粘り強さを発揮した。
 
　残留というミッションに向け、選手たちは確実に自信を深めているのは間違いない。
 
ポイント２）優勝（残留）するために獲得すべき勝点のノルマは？
５（１勝２分け２敗に相当）
 
　過去５シーズンの平均残留ラインは「38」。これに照らし合わせれば、現在、勝点33の仙台にはあと５ポイントが必要であるが、これは十分に達成可能なノルマと言えるはずだ。
 
　極論すれば、残り５試合すべてを引き分けもOKであり、自慢の堅守をベースに、まずは専守防衛のスタイルで試合に臨むのがベターだろう。
 
ポイント３）終盤戦のキープレーヤーは？
富田晋伍
　抜群のボール奪取力と高い危機管理能力で、中盤で格別の存在感を放つ。的確なポジショニングでスペースを埋めながら、周囲と連係して相手の攻撃の芽を素早く潰すこの小柄なボランチが現在の活躍を続けられれば、チームが大きく崩れることはないだろう。
 
ポイント４）累積警告や負傷者などの懸念材料は？
　累積警告では、石川直樹が３枚と〝リーチ″の状態。攻守両面で高い貢献度を示すこの左SBを欠くとなると、厳しい戦いを余儀なくされるだろう。
 
　その他、鎌田次郎や上本大海、菅井直樹といった選手が２枚と、やはりDF陣にカードが多いのは懸念材料のひとつだ。
 
　負傷者では、名古屋戦でウイルソンが左膝を負傷してしまい、約１か月の離脱となる見通しだ。２トップを組む赤嶺真吾とともにパフォーマンスが上がってきていただけに、貴重な得点源の不在をいかに埋めるかが鍵となりそうだ。
 
ポイント５）残り５試合で鍵を握りそうな対戦相手は？
30節・柏（H）
 
　残り５試合の対戦相手にはいずれも前回対戦で負けておらず、これはポジティブに捉えてもいいだろう。
 
　残留を争うC大阪、すでに降格が決まっている徳島からは確実に勝点を奪いたい。
 
　また、柏には11年７月のナビスコカップで対戦して以来、負け知らずで相性も良いだけに、現在の順位は相手が上だが、ホームゲームということを考えても、気持ちの面で有利に立てるはず。勝利を収めて、残り試合に勢いをつけたいところだ。
 
文：広島 由寛（週刊サッカーダイジェスト）