現地時間３月８日のヨーロッパリーグ（EL）決勝トーナメント２回戦第１レグでは、ミラン対アーセナルの名門対決が実現する。現在、評価が好対照な指揮官同士の対戦としても注目を集める一戦だ。

　アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は、その長いキャリアにおいて最大とも言える危機に立たされている。リーグカップ決勝でマンチェスター・シティに０-３と敗れ、プレミアリーグでは４位トッテナムに勝点13差。ELを制覇できなければ、無冠で終えるだけでなく、来シーズンもCLに出場できない。

　一方のミランも、現時点のままではCLの舞台に立つことができない。セリエAで４位のラツィオには勝点８差をつけられている。ただ、こちらはシーズン途中にジェンナーロ・ガットゥーゾ監督が就任してからチームは再生され、現在は公式戦13試合無敗と絶好調だ。

 

　当然、ミラン有利との声は少なくない。ただ、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport』によると、ガットゥーゾ監督は前日会見で「いまの彼らは苦難にあるが、優れた選手たちが集まり、素晴らしいクオリティーを持った、我々より強いチームだ」と、アーセナルへの警戒を解いていない。

「良いパフォーマンスが必要となる。ミランが７万人の観客の前で欧州の大会を戦うのは久しぶりだ。我々はこの状況を楽しまなければいけない。欧州の舞台における私の経験？　それは現役時代の話だよ」

　指導者として初めてビッグクラブを率いているガットゥーゾ監督は、「ヴェンゲルと比べたら私はプルチーニ（U-11）の監督だよ」と、経験の違いを強調した。

「今回の試合は、私とヴェンゲルの対決じゃない。もしそうだとしたら、とても勝負にはならないからね。明日（８日）はどうすれば失点しないかを考え、自分たちがボールを持ったときにうまく彼らを走らせなければいけない。テクニックでは及ばないが、それでも彼らを苦しめることは可能だ。最近のメンタリティーで戦えればきっとやれる」

　これに対しヴェンゲル監督は、「ガットゥーゾに私の助言など不要だろう」と返している。

「むしろ、私のほうが彼にアドバイスしてほしいくらいだよ。最近はいろんなことがうまくいってないからね。彼は現役時代、ミランのレジェンドプレーヤーだった。監督としても同じような存在になれるんじゃないかな」

　長年に渡ってサッカー界のトップを競ってきたヴェンゲル監督を倒せば、ガットゥーゾ監督の株はさらに上がるに違いない。本拠地サン・シーロでの第１レグで、その一歩を踏み出せるだろうか。