元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノの引退を巡る報道が現地時間9月27日、またも浮上した。だが、夏から世間を騒がせている「悪童」の進退だけでなく、この日はもうひとりの元イタリア代表FWの引退も話題となっている。カッサーノと同い年のアルベルト・ジラルディーノだ。
 
　半年の浪人を経て今夏に入団したヴェローナとの契約を二転三転の末に解消したカッサーノは、「９月中に新チームが見つからなければ引退する」と宣言していた。だが、先日のインタビューでは、国外からのオファーはあるものの、イタリアのクラブから誘いがないと明かし、１月まで期限を先送りする考えも示唆している。
 
　27日にはそのカッサーノがついに引退を決めたとの報道がイタリアを駆け巡った。イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、家族とジェノバでのイベントに出向いたカッサーノが、サポーターの呼びかけに「サッカーはもう終わりにした」と答えたという。
 
　ところが、今回もカッサーノは引退を否定した。カロリーナ・マルチャリス夫人が「アントニオはそんなこと言っていない。サッカーをやめるなんて誰も言っていないわ！」とツイート。さらに、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙は、カッサーノ本人もメールで「トレーニングしているところだよ。イタリア（のクラブ）からの連絡を待っている」と、引退を否定したと伝えている。
 
　本人が希望するクラブからオファーがあるかどうかは分からないが、少なくともまだもうしばらくカッサーノはスパイクを脱がないつもりのようだ。
 
　一方で、2006年ドイツ・ワールドカップの優勝メンバーでもあるジラルディーノは、『スカイ・スポーツ』のインタビューで、「まだプレーしたいけど、10日経ってもチームが見つからなければ、引退して監督になるためのライセンスコースを始める」と、来週中に所属先が見つからない限り、指導者に転身するとの覚悟を明かした。
 
　先日に練習参加したMLSのモントリオール・インパクトとは正式契約には至らなかったジラルディーノだが、「ロッカールームが恋しい。長く離れていると、ちょっとしたことが恋しいんだ」と、現役続行への意欲を強調している。
 
　昨シーズンはエンポリとペスカーラで無得点に終わったものの、セリエAで通算188ゴールと大台まであと12得点のジラルディーノ。同じ1982年生まれで、昨シーズンはカリアリで16ゴールをマークしたマルコ・ボッリエッロ（現スパル）のように、もう一花咲かせたいと思っているのかもしれない。
 
　今シーズンもすでにセリエAで得点をマークしたボッリエッロに対して、同じ「82年組」だが活躍の場を得られていないカッサーノとジラルディーノ。夏から「引退→撤回」を繰り返してきた悪童と、「あと10日」と自らに期限をもうけた元世界王者。ともに７月で35歳となったベテラン２人は、どのような決断を下すのだろうか。