火曜日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝、広州恒大との中国勢対決をPK戦の末に制し、ベスト4に名乗りを上げた上海上港。フッキ、オスカール、エウケソンのブラジル産スーパートリオを擁し、圧倒的な攻撃力が自慢の強豪だ。そのチームを率いるのが、ポルト、チェルシー、トッテナム・ホットスパー、ゼニト・サンクトペテルブルクで監督を歴任したアンドレ・ヴィラス=ボアスである。
勝利したにも関わらず、なぜ怒りを爆発させたのか。上海上港はホームの第1レグで4-0の圧勝を飾るも、アウェーでの第2レグを同じスコアで落とし、延長戦でも1点ずつを取り合う大乱戦を演じた。なんとかPK戦を5-4の僅差でモノにしたが、指揮官に言わせれば、そのドタバタ劇はすべて審判団のミスジャッジが招いたものだという。さらに背後には、広州恒大とAFCの協力関係があったと主張するのだ。
ヴィラス=ボアス監督が北米スポーツ局の『ESPN』にぶちまけたのは、こんな言い分だ。
「前の試合(第1レグ)で、守備のリーダーであるフー・ファンがクリーンなスライディングタックルをしたにも関わらず、警告をもらって(第2レグが)出場停止になった」
「今日はヤン・ジュンリンが意味不明なイエローで準決勝の第1レグに出れなくなり、さらにレフェリーはふたりの退場者を出してくれた。極めつけが、PK戦。なんの迷いもなく広州サポーターが陣取るサイドを選んだんだ」
「本来なら広州のシャン・リンペンは、この試合に出ていないはずだった。第1レグでうちの選手にエルボーを見舞っていたからね。AFCに再審を求めたが、規律委員会は暴力的な行為とは認めなかった」
「今日のバス移動だが、そこでもおかしなことがあった。我々のバスの前で3度も事故があったんだ。よく見てみると、そのうち2回は同じ車が絡んでるじゃないか。なんだったんだ、あれは」
主張のすべてが正論かどうかは分からないが、たしかにこれだけの出来事が身に降りかかってくれば、疑心暗鬼になってもおかしくはない。
とはいえ、最後のこの一言は余計だったかもしれない。
「いろいろあったが、我々は素晴らしい勝利を掴んだ。なぜなら、AFCを支配しているクラブを下したのだからね」
AFCからなにかしらのペナルティーが科されても不思議ではない問題発言だが……。
浦和レッズとの準決勝・第1レグでは、累積警告と退場で出場停止となる主力3選手に加え、ポルトガル人指揮官もスタンド観戦を余儀なくされているかもしれない。
