誰が? なぜ? 「UEFAネーションズリーグ」の実体

カテゴリ:ワールド

井川洋一

2014年03月31日

根底にあるのは「Football first」の信念。

代表チームによるリーグ戦という画期的なアイデアを実行に移すUEFA。強豪国同士の真剣勝負が定期的に見られるのは、ファンにとっても喜ばしいことだろう。 (C) Getty Images

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 3月27、28日にカザフスタンのアスタナで開かれた第38回UEFA定例総会で、欧州における代表チーム戦の新たなコンペティションの創設が承認された。その名称は、『UEFAネーションズリーグ』。2018年から始まるこの大会は、代表チームと国際試合の質と水準を高めるものと期待されている。

 UEFAのミシェル・プラティニ会長はこれまで、チャンピオンズ・リーグやヨーロッパリーグの出場権に関する小国への優遇措置(予選に2つのルートを設けたことや、上位国の枠の減少と下位国の枠の拡大など)、EURO出場国の拡大(16か国が2016年大会から24か国に)、EURO2020本大会の各国開催、ファイナンシャル・フェアプレーの導入など、現役時代さながらの創造性と統率力をもって、欧州サッカー界の改革を推進してきた。その手法やアイデアには賛否が分かれるところだが、根底にあるのは、「Football first」、つまりサッカーを第一に考え、より平等に、より良い方向へ導こうとする自らの信念にある。そして、今回のネーションズリーグ創設も、この会長の意向とリーダーシップにより実現されたものだ。

「親善試合には誰も興味を持たない。ファンや選手、メディア、各国協会の誰ひとりとして」とプラティニが話したように、近年、国際親善試合の価値を問う議論は頻繁になされてきた。そして、親善試合に取って代わるものとして、ネーションズリーグの構想が初めて協議されたのは、2011年9月にさかのぼる。以降、UEFAは重要な会合を重ね、このたび、全54協会の満場一致を得て承認に至ったのである。

 現時点のネーションズリーグのフォーマットは仮定のものだが、おおまかな概要は以下のとおり。

 UEFAに加盟する54の代表チームを、UEFA国別ランキングを元に4つのディビジョンに分割し、各ディビジョン内で4つのグループに振り分ける。各チームはホーム・アンド・アウェーのグループリーグを戦い、首位から4位までの順位を決める。最上位のディビジョンAの各グループを制した4つの首位チームは、準決勝と決勝のファイナルステージを戦い、その覇者がネーションズリーグ優勝国となる。ディビジョンB~Dの各グループ首位チームは上位ディビジョンに昇格し、逆にディビジョンA~Cの各グループ最下位チームは降格することになる。また、各ディビジョンのグループ首位チームは、翌年のEURO本大会出場権を懸けたプレーオフへ進み、同ディビジョンの4チームでEURO本戦行きを争う(欧州予選からすでに出場権を獲得している国があった場合は、グループ次点のチームが出場)。

 2018年9月から12月にかけてグループの試合が行なわれ、翌年にディビジョンAの各グループ勝者が争うファイナルステージによって優勝チームが決定。つまり、ワールドカップとEUROのない奇数年にも代表チームの覇者が生まれることになるのだ。

 ディビジョンDの優勝国にもEURO出場権が与えられることなどを辛辣にこきおろす主要国のメディアもあるが、見方を変えれば、メジャー大会の本戦を知らない国々には夢のある話だと捉えることもできる。また、継続的に同じレベルの相手と優勝や昇降格を懸けて真剣勝負ができることや、テレビ放映権料や入場料などにより各国協会の財政の安定化が見込まれることから、全般的に好意的に受け止められている(54協会の満場一致がその証左と言える)。

 例えば、FA(イングランド・サッカー協会)のアレックス・ホーン事務総長は、次のように話している。
「とてもエキサイティングだ。ワールドカップなどの主要大会のすぐ後、9月と11月に(欧州の上位チームとの)連戦があるのは、非常に有意義だ。降格の危機もあり、真剣勝負が行なわれることになる」

 プラティニ会長主導の下で、また新たなステージに踏み出した欧州サッカー界。この大会の未決定事項を含め、今後の協議と展開にも注目していきたい。

【著者プロフィール】
井川洋一/スポーツジャーナリスト・編集者・翻訳家
UEFA.com日本語版編集責任者。週刊サッカーダイジェスト、英PA Sport通信を経て独立。日々、欧州サッカーにまつわる記事を更新する傍ら、日本の媒体に寄稿する。香港在住。
※すべての見解は執筆者のものであり、UEFAとは一切関係ありません。
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