「他にライバルなんていない」
2025年のバロンドール(フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が選定する世界最優秀選手賞で、最も歴史的権威がある)が発表されている。
最終候補30人の中から選ばれたのは、パリ・サンジェルマンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝の立役者になったアタッカー、ウスマン・デンベレだった。下馬評を考えれば、受賞は順当だったと言えるだろう。
例年、CL王者のエースがバロンドールに選ばれており、そのプレーは目覚ましかった。もともと両利きのドリブルはスピードもテクニックも変幻自在で、プレスで守備のスイッチになるなど戦術の軸となっていた。司令塔ヴィチーニャ、サイドバックのアクラフ・ハキミ、ヌーノ・メンデスとの票の奪い合いも懸念されたが、頭一つ抜けた格好だ。
一方、デンベレに及ばず2位だったのが、FCバルセロナのラミン・ヤマルだった。ヤマルはCLこそ準決勝で敗退も、ラ・リーガ、スペイン国王杯、スペインスーパーカップと総なめで、ネーションズリーグもファイナリストだったが、2年連続U-21バロンドールにとどまった。プレーのインパクトとしてはデンベレをも上回ったが…。
最終候補30人の中から選ばれたのは、パリ・サンジェルマンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝の立役者になったアタッカー、ウスマン・デンベレだった。下馬評を考えれば、受賞は順当だったと言えるだろう。
例年、CL王者のエースがバロンドールに選ばれており、そのプレーは目覚ましかった。もともと両利きのドリブルはスピードもテクニックも変幻自在で、プレスで守備のスイッチになるなど戦術の軸となっていた。司令塔ヴィチーニャ、サイドバックのアクラフ・ハキミ、ヌーノ・メンデスとの票の奪い合いも懸念されたが、頭一つ抜けた格好だ。
一方、デンベレに及ばず2位だったのが、FCバルセロナのラミン・ヤマルだった。ヤマルはCLこそ準決勝で敗退も、ラ・リーガ、スペイン国王杯、スペインスーパーカップと総なめで、ネーションズリーグもファイナリストだったが、2年連続U-21バロンドールにとどまった。プレーのインパクトとしてはデンベレをも上回ったが…。
デンベレの受賞に水を差したのが、ヤマルの父親である。授賞式にもスーツ姿で参加していた父はモロッコに移り住み、スペインで一旗あげた人物だけに、愛息のために苦言を呈した。
「来年のバロンドールは私たちのものです」
そう発信したまではよかったが…。
「“泥棒”とは言わないけれど、人間的に心のところでショックだよ。だって、息子は世界で飛び抜けて最高のサッカー選手だと思っているし、息子だからというわけじゃなく、ラミン・ヤマルは最高で、他にライバルなんていないからね。ラミンはラミン、今年はちょっとおかしなことが起こったと言わざるを得ないよ」
その言葉は父親の心情としては、わらからないではない。
しかし、こうした肉親の“愛するが故の”発信はほとんどの場合、ネガティブな効果しかもたらさないだろう。マスコミは面白おかしく、その言葉を伝えるが、こうした発信は選手本人の気持ちを代弁するようにも捉えられかねない。それは傲慢さ、不遜さとも受け取られ、結果的に選手がダメージを負うことになってしまうのだ。
どの国の、どのスポーツでも、若くして頭角を現した選手の場合、肉親がメディアに登場するケースがある。それはニュースとして意外なほど需要がある。しかし、それがポジティブな効果をもたらすことはほとんどない。親の承認欲求を満たすだけで、できるだけ避けるべきであることを知っておくべきだろう。
「親の因果が子に報う」
それは一つの法則だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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「来年のバロンドールは私たちのものです」
そう発信したまではよかったが…。
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その言葉は父親の心情としては、わらからないではない。
しかし、こうした肉親の“愛するが故の”発信はほとんどの場合、ネガティブな効果しかもたらさないだろう。マスコミは面白おかしく、その言葉を伝えるが、こうした発信は選手本人の気持ちを代弁するようにも捉えられかねない。それは傲慢さ、不遜さとも受け取られ、結果的に選手がダメージを負うことになってしまうのだ。
どの国の、どのスポーツでも、若くして頭角を現した選手の場合、肉親がメディアに登場するケースがある。それはニュースとして意外なほど需要がある。しかし、それがポジティブな効果をもたらすことはほとんどない。親の承認欲求を満たすだけで、できるだけ避けるべきであることを知っておくべきだろう。
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それは一つの法則だ。
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【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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