MFのサイドバックへのコンバートが頻繁に行われてきた
FCバルセロナは、唯一無二のスペクタクル主義を掲げているクラブである。
「ボールを持っていれば失点しない」
「ボールは汗をかかない」
「無様に勝利よりも、美しく散れ」
彼らはその理想を掲げ、徹底的にボールプレーを重んじ、下部組織ラ・マシアではボールプレーヤーを育成している。絶え間なくボールプレーを続けるため、相手ボールも奪い返す戦術が、トップチームでは研ぎ澄まされることになった。あくまで能動的な守りが、絶対的な攻撃に結びついているのだ。
ラ・マシアでは、ボールを思うように操れるような選手しか、スカウティングで引っかからない。だからこそ、シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタを輩出し、現在もマルク・カサドやフェルミン・ロペスなど小柄で細身なMFが相手を凌駕している。
興味深いのは、いわゆるセンターフォワードを輩出できない点だが、中盤やサイドやセンターバックやGKは個性的なボールプレーヤーを生み出してきた。
サイドバックに対する考え方は特殊で、バルサの理念が現れている。
「サイドバックに求める要素はMFと近い」
それがラ・マシアの前提だろう。ラ・マシアの祖とも言えるヨハン・クライフ以来、実際にMFのサイドバックへのコンバートが頻繁に行われてきた(アルベルト・セラーデスやセルジ・ロベルトなど)。
「ボールを持っていれば失点しない」
「ボールは汗をかかない」
「無様に勝利よりも、美しく散れ」
彼らはその理想を掲げ、徹底的にボールプレーを重んじ、下部組織ラ・マシアではボールプレーヤーを育成している。絶え間なくボールプレーを続けるため、相手ボールも奪い返す戦術が、トップチームでは研ぎ澄まされることになった。あくまで能動的な守りが、絶対的な攻撃に結びついているのだ。
ラ・マシアでは、ボールを思うように操れるような選手しか、スカウティングで引っかからない。だからこそ、シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタを輩出し、現在もマルク・カサドやフェルミン・ロペスなど小柄で細身なMFが相手を凌駕している。
興味深いのは、いわゆるセンターフォワードを輩出できない点だが、中盤やサイドやセンターバックやGKは個性的なボールプレーヤーを生み出してきた。
サイドバックに対する考え方は特殊で、バルサの理念が現れている。
「サイドバックに求める要素はMFと近い」
それがラ・マシアの前提だろう。ラ・マシアの祖とも言えるヨハン・クライフ以来、実際にMFのサイドバックへのコンバートが頻繁に行われてきた(アルベルト・セラーデスやセルジ・ロベルトなど)。
〈サイドでボールを受け、起点になる〉
ボールの出所と考えた場合、ボールテクニックやビジョンが求められる。それはMFとしての要素と変わらない。
クライフの薫陶を受け、バルサの権化となったジョゼップ・グアルディオラが偽サイドバックと称し、サイドバックをインサイドのMFのようにプレーさせたのは偶然ではない。変則性を用い、ボールの出所を増やし、相手を混乱させる手法だったが、理にかなっていた。グアルディオラは再び形を変化させたが、複数のプレーメーカーを配置し、攻撃を分厚くする考え方だ。
今シーズン、バルサは開幕戦で、センターバック、中盤を務めてきたエリク・ガルシアが右サイドバックを務めている。ラミン・ヤマルをサポートし、勝利に貢献。もともとE・ガルシアはボールプレーの技術が折り紙付きだったが、中央ではやや低く弱く、サイドの方が性に合っているかもしれない。プレスに対し、恐れることなく、迅速にパスをつけられるだけに、出口にもなるのだ。
サイドバックは俊敏性や持久力のようなフィジカルの要素が重んじられることがある。しかし攻撃的なプレーモデルを目指す場合、このポジションに求められるのはボールプレーだろう。サイドにもう一人MFがいる構図だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
【記事】彼がいないとここまで違うのか。完敗の日本代表は「生命線」の不在が大きく影響した【担当記者コラム】
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ボールの出所と考えた場合、ボールテクニックやビジョンが求められる。それはMFとしての要素と変わらない。
クライフの薫陶を受け、バルサの権化となったジョゼップ・グアルディオラが偽サイドバックと称し、サイドバックをインサイドのMFのようにプレーさせたのは偶然ではない。変則性を用い、ボールの出所を増やし、相手を混乱させる手法だったが、理にかなっていた。グアルディオラは再び形を変化させたが、複数のプレーメーカーを配置し、攻撃を分厚くする考え方だ。
今シーズン、バルサは開幕戦で、センターバック、中盤を務めてきたエリク・ガルシアが右サイドバックを務めている。ラミン・ヤマルをサポートし、勝利に貢献。もともとE・ガルシアはボールプレーの技術が折り紙付きだったが、中央ではやや低く弱く、サイドの方が性に合っているかもしれない。プレスに対し、恐れることなく、迅速にパスをつけられるだけに、出口にもなるのだ。
サイドバックは俊敏性や持久力のようなフィジカルの要素が重んじられることがある。しかし攻撃的なプレーモデルを目指す場合、このポジションに求められるのはボールプレーだろう。サイドにもう一人MFがいる構図だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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