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【セルジオ越後】この3年間、日本は何をしてきたのか…。アメリカ戦は完敗。正直、“W杯優勝”を口にできる段階じゃないよ

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2025年09月10日

直視すべきはシステム論争より個の力不足だ

日本はアメリカに0-2で敗戦。気になったのは、ドリブルで勝負をしなくなっていることだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 日本代表は9月10日、国際親善試合でアメリカ代表と対戦し、0-2で敗れた。今日の試合は、全体的に見て完敗だったと言えるだろう。

 チャンスがなかったわけではないが、相手の方がチャンスの数は多かった。前からのプレスはメキシコ戦のようにハマらず、アメリカがうまく見えた。6点くらい取られてもおかしくない内容で、大敗を免れたというのが正直なところだよ。

 気になったのは、今の日本がドリブルで勝負をしなくなっていることだ。逆にアメリカの選手はドリブルがうまく、1対1で崩してきていた。実際に日本の右サイドから2点を奪われたが、いずれもドリブルから崩された形だった。

 日本は徹底してパスサッカーに終始し、ドリブルから仕掛ける場面が全く見られない。これではヨーロッパのチームには通用しても、南米のチームに弱いという課題は克服できないだろうね。トップスピードのギアが入らず、すぐに横パスやバックパスを選択してしまう。これでは点は取れないよ。

 システムが3バックか4バックか、ということは関係ない。それは勝った時には出てこない言葉で、負けた時に必ず出てくる言い訳に過ぎない。問題はシステムではなく、個々の力だ。

 今回の試合ではメキシコ戦からメンバーを11人全員入れ替えたが、その結果、選手層が薄いということがはっきりと判明したね。「誰が出てもできるチーム」にはなっていないということだよ。

 休んでいた選手たちが出場したのだから、もっと前半からプレスをかけられるはずなのに、それができなかった。メキシコ相手にできたことが、なぜアメリカ相手にできなかったのか。まるで疲れ切った選手たちが出ているかのような試合運びだった。
 
 最近、森保監督も選手も「ワールドカップで優勝する」という言葉を口にするが、私は心配している。「優勝」と言い出したことで、「チャレンジ」という言葉が消えていっているからね。今の日本はまだチャレンジャーの立場だろう。まずはワールドカップでベスト16の壁を破ってから言うべき言葉ではないか。

 長友が試合後のインタビューで「個の力を上げなければ優勝はない」という趣旨の発言をしていたが、まったくもってその通りだよ。

 日本のメディアは海外組の活躍を大きく報道するが、それによって日本の人たちは錯覚しているのかもしれない。彼らが所属しているクラブがビッグクラブとは限らないし、日本の報道だけを見ていると、まるで世界で一番輝いているかのように勘違いしてしまう。個の力が足りていないという現実を直視する必要がある。

 ワールドカップまであと10か月しかないが、残された時間はわずかだ。ヨーロッパや南米の強豪国は、ネーションズカップや長い予選を通じて、常にハイレベルな環境で揉まれている。一方、日本はずっとアジアで戦い、予選を突破してからワールドカップ出場国と少し試合をするだけ。これでは経験値が足りない。

 私は生きている間に、日本がベスト16の壁を破るところを見たい。それが願いだよ。しかし、今日の試合内容を見ると、日本はこの約3年間、何をしていたのかと思ってしまう。良い時には褒め、悪い時には厳しく指摘しなければ、本当の意味での反省は生まれないだろう。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、80歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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