3-4-2-1は最適解なのか
[国際親善試合]日本 0-0 メキシコ/9月7日/オークランド・コロシアム
メキシコは5年前に中立地のオーストリア・グラーツで対戦し、0-2で完敗した相手だ。ただしその2年後にはカタール・ワールドカップが開催され、日本はドイツ、スペインを下してベスト16に進出し、逆にメキシコは過去7大会も続けてきたグループリーグ突破に失敗。以後、日本は代表チームも個々の選手たちも飛躍的に評価を高めてきた。
日本は、もはやサプライズを提供する未知のチームではなく、欧州でも知られた選手が増えたので、当然メキシコも個々の特徴に即した対応をしてきた。例えば三笘薫がボールを持てば、2人が吸いつくように距離を詰め、とりわけ縦のスペースを塞いだ。結局三笘は、この試合で1度も縦への仕掛けを見せることがなかった。
メキシコからゴールを奪えなかった森保一監督は「シュートの本数を増やす」ことと「守備から攻撃へのクオリティを上げる」ことを今後の課題に挙げたが、どちらかと言えば重要なのは後者だ。
最近はゴールへのカギとして「ポケットの攻略」が強調されるようになった。しかし、それは21世紀の新発見ではなく、古今東西変わらぬ真実である。ただし、現在はポケットにボールを運ぶために様々な戦術的工夫が凝らされ、ワイドに開いたウィンガーをSBやMFなどが内側から追い越していくインナーラップや、インサイドの選手が斜めに走ってウインガーを追い越す動きなどが盛んに取り入れられている。
だが、結局最も効率的なのは、ひとりで縦への仕掛けもカットインもできて、ゴールもアシストも自在なアタッカーを擁することだ。だからこそ厳重警戒のなかでもそれが可能なキリアン・エムバペやラミネ・ヤマルがスターダムに君臨するわけで、そこが超一流と一流の分かれ目なのかもしれない。
メキシコは5年前に中立地のオーストリア・グラーツで対戦し、0-2で完敗した相手だ。ただしその2年後にはカタール・ワールドカップが開催され、日本はドイツ、スペインを下してベスト16に進出し、逆にメキシコは過去7大会も続けてきたグループリーグ突破に失敗。以後、日本は代表チームも個々の選手たちも飛躍的に評価を高めてきた。
日本は、もはやサプライズを提供する未知のチームではなく、欧州でも知られた選手が増えたので、当然メキシコも個々の特徴に即した対応をしてきた。例えば三笘薫がボールを持てば、2人が吸いつくように距離を詰め、とりわけ縦のスペースを塞いだ。結局三笘は、この試合で1度も縦への仕掛けを見せることがなかった。
メキシコからゴールを奪えなかった森保一監督は「シュートの本数を増やす」ことと「守備から攻撃へのクオリティを上げる」ことを今後の課題に挙げたが、どちらかと言えば重要なのは後者だ。
最近はゴールへのカギとして「ポケットの攻略」が強調されるようになった。しかし、それは21世紀の新発見ではなく、古今東西変わらぬ真実である。ただし、現在はポケットにボールを運ぶために様々な戦術的工夫が凝らされ、ワイドに開いたウィンガーをSBやMFなどが内側から追い越していくインナーラップや、インサイドの選手が斜めに走ってウインガーを追い越す動きなどが盛んに取り入れられている。
だが、結局最も効率的なのは、ひとりで縦への仕掛けもカットインもできて、ゴールもアシストも自在なアタッカーを擁することだ。だからこそ厳重警戒のなかでもそれが可能なキリアン・エムバペやラミネ・ヤマルがスターダムに君臨するわけで、そこが超一流と一流の分かれ目なのかもしれない。
日本代表は試合を通して、概ね3度の決定機を作った。まず開始3分にアタッキングサードで遠藤航が、背中を向けてボールを受けるマルセロ・ルイスのボールを突っかけ、堂安律のパスを受けた久保建英がフリーで狙った。
日本はチャレンジャーとして開始早々から効果的なプレスを仕掛け、中盤ではファウルをしてでも絶対に前を向かせない戦い方を徹底していたので、もしここで先制点を奪えていればプラン通りの試合展開が待っていた可能性がある。
2度目は53分、今度はシャドーの久保が斜めに飛び出し、ワイドに開いた堂安の縦パスを受けると、逆サイドでフリーの南野拓実に右足で緩やかな、ボレーで叩くには格好のクロスを送った(南野はシュートをふかす)。この日の日本は個で縦に仕掛けてサイドを抉るプレーがなく、連係でポケットを攻略した唯一のケースだった。
そして最後は、左サイドでスローインを受けた遠藤が強引にボールを運び、上田綺世が抜け出してセサル・モンテスの退場を誘った。守備ではアグレッシブな姿勢を貫いた日本だが、攻撃面で大胆な仕掛けが影を潜めていたので、遠藤の強気な試みが突破口へと繋がった。
一方で現在の3-4-2-1が、果たして最適解なのか、という疑問も残った。昨シーズンは揃って2ケタゴールを記録した本来得点源の三笘と堂安が、両翼で長い距離の往復を繰り返すので、肝心なゴール前で仕掛けるパワーを十分に残せていない。
逆に縦抜きとカットインからのシュートの両立という点では、今最もアグレッシブな中村敬斗の不在も際立ってしまった。
また、勝利を手繰り寄せるなら、早いタイミングで鎌田大地をシャドーに上げて攻撃的に広範な活用を見せて欲しかったし、現状では伸びしろが見込める数少ない戦力として、佐野海舟にはもっと急ピッチでプレー時間を与えていくべきだろう。
5年前に6割ゲームを支配され、圧倒されたメキシコとの格差は、確かに解消された。しかし、世界の頂点にも同じように肉薄できているかと言えば、確信は持てなかった。
文●加部究(スポーツライター)
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5年前に6割ゲームを支配され、圧倒されたメキシコとの格差は、確かに解消された。しかし、世界の頂点にも同じように肉薄できているかと言えば、確信は持てなかった。
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