E-１選手権を戦うなでしこジャパンは国内組中心のメンバー構成で、いわゆる“ベスト”ではない。「常連」と呼べるのは高橋はな、平尾知佳、石川璃音あたりで、招集23名のうち初招集が10人とフレッシュな顔ぶれだ。

　そんな中、チャイニーズ・タイペイとの初戦に続き、韓国戦でも得点に絡んだのが右ウイングの愛川陽菜。INAC神戸レオネッサ在籍の21歳のアタッカーは今大会でここまで“２試合連続アシスト”をマークしている。特に韓国戦で成宮唯のゴールに繋げたパスは秀逸。相手DFの最も嫌がる”ポケット”への浮き球はセンスを感じさせるプレーだった。

　スピード豊かなドリブルを主武器に相手を翻弄し、良質なパスでチャンスを演出する。やや荒削りな部分はあるものの、果敢に仕掛けるスタンスはポジティブで貪欲にゴールを狙う姿勢も素晴らしい。

　常連組を欠く今大会のなでしこジャパンは当然ながらチームの完成度が高くない。パススピード、連係などからもそれは明らかだが、選手個々に目を向けると、「E-1選手権をきっかけに大化けなるか」と期待させるタレントはいる。
 

　そのひとりが愛川なのである。もちろん藤野あおば、浜野まいか、松窪真心らと現時点で肩を並べられるようなレベルではないだろう。それでも、この新星が楽しみな逸材である事実は変わらない。

　中国との最終戦でインパクトを残せれば、今後なでしこジャパンに定着する可能性もある。是非、大暴れしてほしい。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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