18歳でA代表デビューした逸材を、FC東京は今季レンタルで手放していた。チームがJ１で低迷するなか、浮かび上がるひとつの疑問、その決断は果たして正しかったのか。

　今季、FC東京から期限付き移籍でファジアーノ岡山に加入した佐藤龍之介（18歳）は３−４−２−１システムの右ウイングバックとして躍動。彼を「日本の宝」と評する木山隆之監督の下、上手さと強さ、そしてタフさを見せつけている。

　目を見張る活躍で４月度Ｊリーグ月間ヤングプレーヤー賞に輝くと、６月にワールドカップ・アジア最終予選を戦う日本代表のメンバーに初選出。そして同月10日のインドネシア戦でA代表デビューを飾った佐藤は、今やもっとも旬なタレントのひとりだ。

　一方、その佐藤をレンタルの形で手放したFC東京は今季リーグ戦で大苦戦。19試合を消化して５勝５分９敗の17位と残留争いに巻き込まれている状態だ。移籍先で飛躍を遂げる佐藤と対照的なのは、皮肉と言えるだろう。

　この現状を見て、なぜ佐藤を移籍させたのかと感じる人も少なくないはずだ。FC東京の小原光城ゼネラルマネージャー（以下、GM）に言わせれば、その真相は「苦渋の決断」だった。

「クラブとしても非常に悩みました。本人とかなり時間をかけて話しましたし、全面的に『行ってこい』というわけではありませんでした。残したい選択肢もあるなかで、より出場機会を得られるのはどこか、彼の成長を考えた時、苦渋の決断というか、そういう結論に至りました」
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　小原GMは「複雑な想い」がありつつ、岡山で成長して代表選手になったことを「喜ばしい」と感じている。

「我々が彼をあのポジション（右ウイングバック）で使うかと言うと、そこも違ったりするので。いろんなものが組み合わさっての代表選出だと考えているので、岡山に行って良かった部分はあります」

　今夏、そんな佐藤を呼び戻す意思はあるのか。その問いに、小原GMは次のように答えた。

「色んな条件が整わないと戻せません。もちろん選択肢のひとつとしては常に持っていますが。果たして、それが良いのか、そもそもできるのかを含めてなんとも答えられません」

　今年９月にはU−20ワールドカップもある。そうした状況から判断すると、佐藤が今夏のタイミングでFC東京に復帰する可能性はおそらく低いだろう。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

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