北中米ワールドカップのアジア最終予選、日本代表が戦った10試合で長友佑都は全てベンチ外となった。最終節のインドネシア戦はいわば消化試合で、町田浩樹、渡辺剛、熊坂光希と負傷者が相次いだ影響もあり、さすがにメンバー入りするだろうと思われていたが、結局は招集メンバーで唯一ベンチ外だった。

　24年３月のワールドカップ・アジア２次予選の北朝鮮以来、ベンチ入りがない長友だが、ピッチ外での貢献は計り知れない。実際、今年３月の代表活動で南野拓実に“長友佑都の存在意義”を訊くと、次の回答を得られた。

「彼がいるだけでチームが元気になります。今回は残念ながら練習に参加できませんでしたが、ホテルや練習場の周りで観察しながらベテランの目線でチームにアドバイスしてくれます。

何より、佑都くんがこれまでしてきた経験がチームにとってプラス。コーチングスタッフと選手の間の目線を持っている唯一の存在で、ピッチに立てば誰よりも熱い。本気でワールドカップのメンバーに入ろうとしているし、それは僕たちにとって良い刺激になります」

　長友が不在だったアジアカップで日本はベスト８敗退。一方、長友が復帰したW杯アジア最終予選では８勝１分１敗で首位通過というのも見逃せない。長友がいたから予選突破できたわけではないが、全くの無関係とも言い切れないだろう。
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　６月の代表活動でも、初招集で緊張気味だった俵積田晃太（FC東京）に積極的に声をかけ、チームに馴染ませようとしていたのも長友だ。まとまりのある集団を作るうえで、この38歳のベテラン戦士は不可欠である。

　ただ、ピッチ内の話になると、違った側面も見えてくる。今季、長友はFC東京で絶対的なレギュラーではない。怪我などの影響もあるが、実力でポジションを獲得できていない印象だ。正直、日本代表レベルのパフォーマンスをJリーグで示しているかと言えば、疑問符がつく。「なぜ代表に呼ばれるのか」とそうした批判が生まれるのは、クラブで説得力十分の活躍ができていないからである。

　“ピッチ外”と“ピッチ内”の貢献を踏まえて、果たして長友をワールドカップ本大会に呼ぶ価値はあるのか。それとも、貴重な１枠をよりピッチ内で計算できる戦力に与えるべきか。森保一監督の決断は如何に。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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