2025年６月10日、北中米ワールドカップのアジア最終予選で日本がインドネシアに６−０と完勝した一戦で、２ゴールを決めて勝利の立役者となった鎌田大地。試合後のミックスゾーンでは、早い時間帯に幸先よく先制できた点について独自の見解を示した。

「ここ最近点が取れてないのは、僕たち（３−４−２−１システムのシャドー）の位置が低すぎる。もうちょっとペナルティエリアの怖いところに顔を出さないといけないねという話をしていたなかで、シュン（三戸舜介）にパスを出してからそこで止まらずエリア内に入っていけたのは良かったです。そういう回数を増やそうとチームで話していたので、そこがゴールに繋がって本当に良かったです」

　０−０で迎えた15分、鎌田はエリア外で三戸にパスを出すと、そこからゴール前に走り込んで三戸のクロスをヘッドで叩き込んだのである。相手のマークをずらすうえで、この時の鎌田の動きは実に有効的であり、結果的にフリーでシュートを打てている。ただ、鎌田に笑顔はない。

　ワールドカップのアジア最終予選が終わっての手応えと課題を訊かれても、鎌田はポーカーフェイスで淡々と持論を展開する。

「基本的なチームコンセプトは変わらない。ただ、アジアの戦いと、ヨーロッパ、ワールドカップに出るようなチームの試合では全然違ってくる。（その変化を）この１年で自分たちが試行錯誤していく必要があります。ゲームをしないとその部分での問題点は見えてこないので、試合を重ねることが大事です」
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　そしてこのテクニシャンは冷静な本音を口にするのだ。「ワールドカップ本大会まであと１年。長いのか、短いのか」との質問に対してである。

「ワールドカップはもちろん大事ですけど、１年後にワールドカップ、選手はあまり考えていないと思います。それよりも自チームに戻って、試合に出続ける。ステップアップしたチームでまた一から競争する。それぞれしっかりとそこで結果を残して、１年後に集まれればいいです」

　クラブでの活躍があっての代表チーム。鎌田の言葉には有無を言わせぬ説得力があった。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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