2025年６月５日に開催された北中米ワールドカップのアジア最終予選、日本はアウェーでオーストラリアに０−１と完封負けした。正直、唖然とするような敗戦だった。

　立ち上がりからボールを支配し、鎌田大地の気の利いたポジショニングとパスワークをベースに中盤を制してオーストラリアを押し込んだものの、最終局面でのアイデア不足で決定機を作るに至らない。

　攻めあぐね、ゴールを奪えないまま試合終盤となり、自分たちのミスからピンチを招いた結果、90分、オーストラリアにワンチャンスをモノにされる。相手の罠にまんまとハマった格好で、最悪の負け方だった。最終盤の失点で全てが台無しと、そんな見方もできるだろうか。

　スコアレスドローもしくは勝っていたら、“急造チーム”だった日本代表は常連組がいなくてもそれなりに戦える、初招集組の出来もまずまずとポジティブに捉えることができた。しかし、土壇場の失点で評価はダウン。結局、三笘薫や堂安律など主力組の不在が結果に影響した点は否定できず、そう見られても仕方ない側面があった。
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　前半に限れば鎌田のゲームメイクは秀逸で、試合を通してみれば平河のアグレッシブなプレーもポジティブに映った。それでも、あの１点でそれらが霞んでしまった。

　実に勿体無い。

 　一方で、内容は最悪でもオーストラリアにとっては最高の勝利となった。サッカーに判定勝ちはない。「１−０」というスコアが全て。それが現実だろう。

　日本はここで１回負けておいて良かったもしれない。８節のサウジアラビア戦に都築、９節のオーストラリア戦でも５バックを崩せなかったのは事実で、攻撃面に問題を抱えているのは間違いない。DFの背後をとる動きに加え、リスク承知の縦パスも少ない。綺麗に崩そうとして泥臭さが足りないのが決定力不足の一因だろう。

　アンラッキーな面もあったオーストラリア戦だが、必然の敗戦と言える部分もあった。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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