ザスパが“オール群馬”で改革へ。ベイシアグループの傘下入りで何が変わるのか

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年06月03日

「財務基盤の強化が急務」

(写真左から)ベイシアの土屋裕雅会長、ザスパの細貝萌社長兼GM、赤堀洋会長。会見で想いを語った。写真提供:ザスパ群馬

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 昨季、悔しきJ3降格を喫し、今季はそのJ3で14位(6月3日時点)と苦戦が続くザスパ群馬。

 2025年は札幌のコーチなどを務めた沖田優新監督の下で再出発を果たしたが、チーム作りはまだまだこれからということなのだろう。

 もっとも昨季にはカインズが企業版ふるさと納税制度を活用して前橋市に寄付する形で、待望の専用練習場「GCCザスパーク」が完成。

 さらに昨季限りで引退した地元のレジェンドである細貝萌が社長兼GMに就任。チーム強化の陣頭指揮を執りながら新時代を築こうとしている。

 そんな群馬に、先週末大きな動きがあった。

 前橋市に本社があるスーパー「ベイシア」と、ホームセンター大手の「カインズ」が、ザスパ群馬の運営会社「ザスパ」の株式の過半数を取得し、グループ会社にし、群馬の運営に参画することを発表したのだ。

 ベイシア会長とカインズ会長を兼ねる土屋裕雅氏は、熱い想いを語った

「群馬県はベイシアグループの創業の地であり、数多くの店舗を有するホームタウンです。JFLからJ2への昇格を目指していた2004年の12月から支援を続けており、現在はベイシアとカインズがオフィシャルユニホームパートナーとして契約を締結しています。“群馬の誇りをともに作る”をビジョンとして掲げ、地域の活性化を図り、群馬の誇りを作る共創のパートナーとしてザスパと連係しています。

 今回ベイシアグループは、ファン・サポーターはもとより、ザスパを応援する企業、地域社会や行政までを含めたザスパに関わるすべての方の満足をより安定して創出し続けられるよう支援からオーナーシップへ舵を切ることにしました。スポーツは暮らしを豊かにする。まさにこれはベイシアグループが取り組むべき領域と考えて、今回の決断にいたりました。

 選手たちが意欲的に安心して頑張り続けられる環境、すなわちホームタウンが一丸となった持続的な応援と安定したザスパの事業基盤、どんな時でもザスパの試合を観るのが楽しい、応援するのが楽しいと感じていただける環境を作り、ファンを増やし、それが選手たちのモチベーションにつながるはずと考えています。ファンが増えればスポンサー企業や地元にもたくさんのメリットが生まれ、その結果、選手たちも安心してサッカーに打ち込めるようになるはずです。

 加えてベイシアグループが取り組んできた選手のセカンドキャリアの支援があれば、引退後の不安も軽減され、さらに競技に集中できることと考えています。そんな好循環をベイシアグループがハブとなることで群馬に一層根付かせたいと考えています。

 ザスパ群馬には温泉街で働きながら、他のチームのおさがりのスパイクを履いてがむしゃらに練習を重ね、Jリーグ加盟を果たした歴史があります。そんな選手たちをオール群馬で応援し続けることができれば、ザスパは必ずや群馬が誇る世界に通じるビッグクラブに進化できるものと信じています。クラブの伝統、歴史を尊重しながら群馬の総力を結集してより愛されるザスパ群馬を作りたいです」

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 今回の決定により、周囲では選手補強などへの期待も高まっている。ただ、チーム強化にも取り組んでいくが、「まずは財務基盤の強化が急務。まずはそちらに特化したい」と土屋会長も話す。

 ザスパの赤堀洋会長も「成長するには財政的にも人的にもリソースが足りなかった」と話し、増資を申し入れたと説明。新スタジアム構想に関しては「これはという計画はまだないが、観戦環境を考えれば、新しく作りたいというのは当然の話。専用スタジアムはどのクラブも欲しい。実現できるように精一杯努力したい」と口にした。

 今後はベイシアグループのネットワークやデジタルマーケティングなどのノウハウを生かし、観客数の増加、満足度の高い試合運営なども目指すという。

 昨季のホームの平均観客数は3988人で、今季のここまでの平均は2468人。改善は必要だろう。

 ピッチ内外で取り組むべきテーマが多いなかで、群馬は今後、どんな進化を示すか。

「各選手もプロ選手としての自覚を見直し、成長していけるようプッシュしていきたい」

 細貝社長兼GMも力強く語る。その願いが叶うのか大いに注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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